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第25話 話を整理
「何か問題でも?
私は秘書として社長から委任されている。
自分の仕事をしただけですよ。
社長を連れてきてからですよ、話は。」
田中はこちらがまだ情報をつかんでいないと見るや強気になって開き直った。
「こんな暴力を受けて。
警察を呼んでください。」
先ほどとは打って変わって強気でしゃべる。
「言う事はそれだけか?」
こっちも何も用意していない訳ではない、と崇さんが言った。
会社が社屋ごと売りに出された事になっている。土地と社屋。
国道沿いの1200坪は、アメリカ企業が、善意の第三者となって合法的に取得している。
長年空き地だったから登記から数十年。隙を突かれた。
その金額がずいぶんピンハネされて、オペレーター室拡張に当てられている。中古品なのに市販の相場よりかなり割高で業者が請け負っている。
電話が入った。難しい顔をして話している崇さん。
「マルカリってのがまだネットにサイトを持っている。警察からだ。
転売ヤーがやらかした。偽ブランドバッグを大量に出品してバズったが、偽とわかって警察沙汰だ。」
転売ヤーの餌食にされた。
出品者は匿名で、その縛りも緩い新参のネットショップが狙い撃ちにされた。
転売ヤーは品物を用意するが、偽とバレてダブついた品物は叩き売る。
最初は10万円だったバッグがどんどん値を下げて今は980円だという。まだ下げて最後は0円になる。送料のみ。
「こんないい加減な商売、許されるの?」
「ネットの罠だな。賠償金が発生するだろう。」
「破産宣告か?」
「そんな卑怯なのは最後の手段だ。
とりあえず田中さんはどこまで関わってるの?」
三人が逃げられないように組の若いもんがそばで見張っている。
「まだ、あんたの無罪は確定してないんでね。」
「私たちが何したって言うんだ!
社長が決裁したんだろう。」
『こころ不動産』の高松さんが駆けつけた。
三人のうち田中を除く二人の顔を見ると
「あんたは司法書士を名乗る小塚だな。
それと、おまえは鈴木。不動産鑑定士だったか?
嘘つきはいつでも、何にでもなれるな。」
ネットに顔写真が出回っていると言う。
「とぼけても無駄だよ。
被害届じゃなくて告訴状にする。」
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