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第27話 寝苦しい夜

 俺はあの事件以来、古民家に住み着いている。  シュンも東京のマンションを引き払ってこの古民家を本拠地にしている。 「生まれ育った町だから戻って来ただけだよ。」 シュンは俺とは隣り合った町の出身で、大学で家を出て一人暮らしをしていた。この地域に愛着があるのは俺と同じだ。  あの一件でヤクザのT会の人と顔見知りになった。その後、どうなっているのだろう。  崇さんとヤクザの関係が気になるが、俺には確かめようがない。  シュンと距離が近づいて関係が深まったか?というとそんな事は全然ない。  新人の頃、東京から一緒に来た加藤早紀がたまに泊まっていく。シュンのセフレみたいだ。  もう古民家の修復も終わって大工さんに頼む事もない。崇さんに会う機会も無くなった。  俺の頭から崇さんが消えない。 「カイ、元気ないね?」 「おまえはいいよな。彼女がいて,さ。 結婚するのか?そしたら俺、ここを出なくちゃ、な。」 「結婚はしないよ。 早紀は結婚したくないんだって。」  羽釜でご飯を炊くのが日課になった。そしてあの景色のいい,風呂に入る。  倉庫の仕事の合間にそんな生活をしている。  何度も寝返りを打つ。夏でもないのに寝苦しくて目が覚める。 (この頃、夢見が悪いんだ。)  シュンと早紀さんがセックスしている所を偶然見てしまった。それが崇さんと重なって妄想に苦しめられる。    裏から物音がした。近頃、変な輩がうろついている。あの事件以来、おかしな奴らが古民家の敷地に入り込む。  YouTube動画に 「あの、地面師に狙われた社長の息子の家」 と上げられている。まるで観光名所のように見に来る人たちがいる。   高松社長に、気をつけるようにと懇意の警備会社から防犯カメラをたくさんつけてもらった。  深夜、奥の風呂場に続く座敷で物音がする。 襖に近づくと人の声がした。 (早紀ちゃん来るって言ってないよね?) 「シュン、会いたくていきなり来ちゃった。 ずっと我慢してたのよ。」  早紀さんとシュンがセックスしている所だった。俺は屋根裏の自室にいると思われてる。  彼らは風呂場の隣の座敷でイタシていた。 襖が少し開いていて見てしまった。覗くつもりはないのに。  俺は童貞だ。免疫がない。目が離せなかった。 「あ、ああ、シュン,これ好き。」  二人とも素っ裸だ。仰向けに寝ているシュンにまたがって腰を振っている早紀さんが見えた。  早紀さんの細い腰をつかんで激しくシュンが動いている。その腰つきが俺の目に焼き付いた。  両手で腰を掴んでいるシュンの親指が頭から消えない。プルプル揺れる乳房をわしづかむ手が頭から離れない。 (人のセックスを初めて見てしまった。)  慌てて自分の部屋へ戻る。  布団を被って固まった。 ショックだった。

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