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第28話 夢に見るのは
俺は毎晩、変な夢を見るようになった。
ミステリーでもなんでもない。俺の希望的妄想だ。あの夜見た光景を勝手に脳内でデフォルメして繰り返す。
なんと崇さんが女とやっている姿に変換されている。女の細い腰を掴んで腰を打ちつける。逞しい腕に抱かれているのは、女しゃなくて俺、だった。性夢を見て夢精するなんて。
腰を掴まれて上に乗って激しく突き上げられる快感を実感する。本当に崇さんに貫かれて、痛くて苦しくて、気持ちいい。
「俺はもうダメだ。毎晩こんな夢を見る。
ああ、俺は崇さんに抱かれたいんだ。」
こんな妄想を知られたら軽蔑される。それでも、会いたい気持ちが募ってくる。
「ねえ、シュン、崇さんって連絡取れる?」
「なんで?会いたいの?」
思いがけずシュンと同居するようになってしまった。でも俺たちには何もない。
ロマンチックな関係ではないのだ。
シュンは女子にモテる。ガールフレンドを家に連れて来る。セフレの早紀も来る。
俺たちはそれぞれ、プライベートで自分の部屋を持っている。
座敷の奥の離れのような所がシュンの部屋だ。俺はあの屋根裏の蚕部屋が気に入って、自室としてもらっている。結構広くて気分がいい部屋だ。
壁があって囲炉裏に落ちる事はない。自在鉤が下がっている梁を避けて床が続いている。
久しぶりに高松社長とヨシさんと崇さんがやって来た。
「よぉ、元気か?」
俺は息が出来ない。こんなに会いたかったんだ。嬉しいのか、混乱した。自分の気持ちがわからない。
「お久しぶりです。
この家もだいぶ馴染んできました。使い勝手が良くて。」
シュンが挨拶する。
「カイは住み着いてるのか?」
「ハイ、そんな所です。」
崇さんがそばに来て
「おまえの夢を見たんだ。」
笑って俺を見つめる崇さん。
「崇さん、お変わりありませんか?」
「え、なんで?」
「俺も崇さんの夢を見たんです。
寂しくなるような夢。」
俺が寂しい夢を見た訳は自分でもわかっている。
「崇さんは恋人とか出来ましたか?」
「なんだよ、直球で聞くのか。
出来たらどうするんだ?」
「俺、泣きます。」
「おまえ、おもしろすぎるなぁ。」
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