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第29話 ディープシーク
「ネット見た?
うちの会社が炎上してる。」
いい意味ではなかった。
ーー反社の蔓延る外国人ビジネス。
実態は、ヤクザの脅し、ブラックバイトか?
外国人労働者を食い物にする森野倉庫!
物流の闇。反社にがんじがらめ。ーー
とんでもない見出しだ。
「週刊誌並みの下品な記事だ。根拠はないだろ。」
C国のAIディープシークで書かれた記事だった。書いた人の都合のいいように書かれる。
「なんでC国がケンカ売って来るんだよ。」
古民家の修復も出来上がって、詐欺事件も警察の落とし所を見つけて、落ち着いたかに見える。
会社は莫大な損失にも持ち堪えた。
シュンがお茶を淹れながら
「ネットの記事、見ました?」
「ああ、ディープシークの記事な。」
「また、反社とか持ち出すのはどこの輩なんですかねぇ。調べ、つきますか?」
高松社長は心当たりの組織を当たってくれた。
「この前の田中たちは勾留中だから、違うと思うけど。ネット使うのは若い奴かな?
聞いてみるよ。多分あの転売ヤーの逆恨みだと思う。」
転売先がほとんどC国のアカウントだ。
ああ、前宣伝だけで潰れた『マルカリ』の被害者だった奴。俺も思い出した。
「結構若い奴でしたよね。
社長が違約金払って手打ちにしたはず。
自分が悪いのに逆恨みですか?
損はしてないと思うのに。」
この国の法律はおかしいよ。
非正規雇用ばかり増やして、補助金が出る。正社員では補助金は出ない。だから、非正規ばかりで保証もなく働く職場。文句を言うと切られて,外国人労働者が増える。言葉が通じないのはつらい。深夜の肉体労働は、キツい、苦しい、危険。
3Kの職場で、外国人が多く応募して来る。
技能実習生の名目で何の実習にも繋がらない。
それで彼らの不満は尽きないらしい。
「日本語わかりませーん。」
そう言ってラベルを読まない。品物をピックアップする本来の仕事が出来ないというのだ。
あのコンビニにいたグエンが入って来た。驚く事にグエンは日本語の読み書きが出来る。猛勉強したという。タブレットの画面を読み取りいち早く商品をピッキングする。
「グエン、日本語上手いね。」
「ワタシ、独学で勉強しました。
日本で働くなら日本語必要ね。
勉強しない人はダメになっていく。」
シュンは新しい労働のスタイルを見つけたような気がする。
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