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第32話 酔っ払う

「可愛いわね、キミいくつ?」  おかみさんに聞かれた。 「かわいいって、もう22才です。  お酒も飲める年です。」  焼き鳥が色々盛り合わせて出て来た。 「こっちの皿は塩焼きだ。俺は塩がいい。」  崇さんが豪快に食べ始めた。次々に料理が出て来る。どれも美味しい。 「この店の煮込みが美味いんだ。」  確かに柔らかくて美味い。この辺りの名物がたくさん出て来る。  鰯のゴマ漬け。茹で落花生。初めて見る野菜のおひたし。 「アスパラ菜のおひたしよ。」  唐揚げも美味しくてたくさん食べた。最後に焼きおにぎりが出た。 「ネギ味噌で焼いたおにぎりだ。」  崇さんの好物らしい。ビールから日本酒に変えてずいぶん飲んだ。  俺はもう気が大きくなっている。さっきから崇さんに微妙なスキンシップを試みていた。  いきなり,ガバッと肩を抱かれた。 「おまえ、かわいいな。」  崇さんに肩を抱かれて焦っている俺をみておかみさんが笑っている。  俺は崇さんに 「いつもこんな風に男を誘うんですか?」 「はっきり聞くなぁ。」 「この前、不二子さんの誘いを断ってたじゃ無いですか?」 「地獄耳だなぁ。ああ、そうだよ。」  崇さんの口を指で塞いだ。 「それ以上言わないで。」  笑って頭を撫でてくれた。 「シュンのあの家に帰るかい? 誰かに送らせるよ。」  嫌なら帰れ、という事か? 千載一遇のチャンスを逃しそうだ。あれほど焦がれた崇さんなのに。 「おかみさん、オアイソ。」  会計を済ませて店を出た。もう手を繋いでは、くれなかった。 (帰らなくちゃいけないのかな⁈)  ガラッと玄関を開けると、廊下に向かって真っ白い障子戸が見えた。 「奥の部屋が寝室になっている。 泊まるんならカイは風呂に入れ。」  思い切って言ってみた。 「崇さんも一緒に入ろう。」  以前にも一緒に入った事がある。しかし今夜は酔っている。自分でも抑制が効かない。大胆になりそうだ。  崇さんが風呂を用意してくれている。出て来て冷たいペットボトルの水を手渡してくれた。  喉が渇いていたのを思い出した。 「水が美味しい。」  崇さんは俺を抱き寄せてキスしてくれた。 どきドキドキ・・心臓が持たない。  優しいくちづけ。畳の上に座って何度もくちづける。 「はあ、死んじゃう。」 「風呂が沸いた。一緒に入ろう。」  俺のシャツを脱がせてくれる。 もうキスの関門は越えたから次は何だ?  ギュッと抱きしめられた。 「おまえを抱いていいのか?」  俺は気持ちが追いつかない。この家に来たいと言ったのは俺自身だ。それはこういう事になるっていう俺自身の了解だったのか?  大人は暗黙の了解でセックスに繋がるものなのか?頭の中に?マークがひしめいている。  崇さんの顎髭が素敵だ。のど仏もセクシーに見える。大人の男、だ。  俺ば思わず抱きついてしまう。 「ああ、大好き。ずっと憧れてました。」 首筋からずっとキスが止まらない。

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