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第36話 そばにいたい

 俺には初恋みたいだ。照れくさいけど。 目が覚めたらずっとくっついていたい。起きてからも嬉しくて隣を離れない。 「カイはとんだ甘えん坊だな。」 「うん、自分でも不思議だ。女々しいよね。 今まで付き合った奴はどんな感じだった?」 「忘れた。カイみたいに可愛くなかったと思うよ。」 (俺はガキだ。過去の事が気になる。 呆れられてしまうだろうか。)  しばらく、シュンの古民家と会社の合間にタカシの家に来てたけれど、頻繁になって 「カイ、ここに住んでしまえ。」 「うん、そうだね。 会社がちょっと遠くなるけど、今だって往復するのは大変だから。」  シュンに話すと喜んで賛成してくれた。 シュンも早紀ちゃんが来るので、ちょうど良かった。    ついにタカシの家で暮らす事になった。 「俺、いそうろう癖があるなぁ。 なんか情けない。タカシは迷惑じゃない?」  肩を抱き寄せられて 「いつもそんな事言うね。ペシミストか?」  タカシはカイがいて幸せだ、と言ってくれてるけど。  俺はタカシに甘えて暮らしている。 寝室の隣にタカシの書斎みたいな部屋がある。 ぎっしり詰まった本棚のチョイスがおもしろい。  レコードをかける。今時?ジャズが好きだと言う。もっと好きなのは柳ジョージ。  いろんな面を知るとますますタカシが好きになる。  突然、不二子ちゃんが訪ねて来た。『こころ不動産』の営業の人だ。山根健斗も一緒だ。 「こんにちは。カイくん、一緒に暮らしてるんだって?  カイくんは崇の事、どれくらい知ってんの? ヤバい人だよ。あんまり深入りしない方が、ってもう手遅れか⁈」 「どう言う意味ですか?」  ケントがそばで 「不二子ちゃん,余計な事言うなよ。 崇さんに叱られるよ。」 「そうだった。聞かなかった事にして。」  そんな言い方は気になるに決まってる。 「タカシもうすぐ帰ってくると思うから、 ゆっくりしていってね。  そしてその気になる話を教えてよ。」 俺は気持ちが暗くなるのを抑えられなかった。 「言ってもいいのかな?」

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