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第2話

 だが、しかし。 「生徒会長の、御来屋(みくりや) (わたる)だ。2年生だ」 「副会長の真木(まき) 優吾(ゆうご)です。同じく2年」 「会計の真城(ましろ) コウ。よろしくねー。俺も2年生」 「書記の観音寺(かんのんじ) 恭弥(きょうや)。2年生だ」  生徒会の先輩たちは俺と、庶務……同じ1年の九十九(つくも) 那留(なる)に、それぞれ自己紹介して見せた。  その語尾に毎回つく「2年生」という文言。  見事、玉砕。  そんな文字が俺の頭の中でガラガラと音を立てて落ちては割れる。  中学の頃生徒会長をやっていた志波先輩は――生徒会には、もう居なかった。  俺達生徒会の先輩、今の2年のαはよほど優秀で強いαが揃っているらしかった。  小学校ではお茶会に招集され、中学でも生徒会に所属し、高校でも生徒会長になったという完璧超人のような会長。  αの競争社会の中で完璧超人と称される会長と生活を共にする、会長の側にいつも付き従っている副会長。  異性関係にはだらしがないのに、会計の仕事はなんということも無くさらっとこなしてみせる会計。  地道な仕事でありながらも学園内の情報を巧みに管理する書記。  志波先輩のいる現3年生は、そんな2年生の代に追い出されるようにして生徒会の席を一席も守れないまま、一般生徒に戻って行ったのだという。  そんなバカな。  それじゃあ何のために俺は生徒会に立候補したのか、わからない。  生徒会長……志波先輩に、会えると思ったからここまで来たのに。 「会長」  ある日、俺は会長に探りを入れた。 「会長は、1年の頃から生徒会役員だったんですよね」 「そうだな。庶務だった。広報と庶務は使い走りみたいな役職だから大体1年がなるんだよ。俺の時は1年は俺しかいなかったけど。庶務は力仕事も多いから見事に押し付けられたな」 「あの、質問なんですが、生徒会にβの人って、いました?」 「いや?いなかった。うちの学園に通ってて生徒会にβが所属できるわけないだろ」 「そ、そうですよね」  おかしい。  志波先輩は、高校でも生徒会に所属しているという話だったはずだ。  それも、友達の兄というツテに頼って聞いた確かな情報だ。  残念ながらその友達とはクラスが離れてしまって疎遠になったのだが……。  俺は、その日から志波先輩を探すことに必死になった。  全校集会の生徒会からの通達時、ステージの上から生徒たち――主に3年生の中からβを探したり、生徒会の広報誌を各クラスに張り出しに行くときに3年のクラスを物色したり。 「3年体育だって」 「えッ嘘!?」  授業中、教室からグラウンドを覗くクラスメイトの言葉に飛びつくと、「嘘だよ」と笑われる。 「お前って、やけに3年生にご執心だよな。何かあるの?」 「……いや、何も……」  何かあったらどれほどいいことか。  何も無いから、こんなに必死になって探しているのだ。  中学の頃、何もしなかった普通のαだった自分とは違うのだ。  志波先輩と出会うなら、俺がαとして、他のαより優位でいられるうちに。  きっとそんなのは一瞬だ。  すぐに時期が来てしまう。  それがタイムリミットだ。  チャンスは今しか無いのだ。

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