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第4話

「東雲が美人すぎて……気がおかしくなった、カナ?」 「今更か」 「まぁ……ハイ」  そうだよな。今更過ぎる。  俺が生徒会の庶務に就いて、東雲が生徒会顧問として俺と接してきて、結構な期間がもう過ぎていた。  最初東雲の見た目に気圧されたというならまだしも、もう慣れたであろう今の時期に東雲を意識しだしたかのような俺の台詞は普通に考えてもおかしかった。 「学園での生活で何かあったか」  気が付けば座っていたはずの東雲は立ち上がり、デスクで俺を挟んだ東雲はしっかりと両手をついて行く手を阻んでいる。 「い、い、いや何も……毎日平穏で……」 「じゃあ急にどうした」 「あんたこそ、こんな、こんな体制で……」  事情を知らない誰かがもし今教室に入ってきたら確実に東雲が俺に迫っていると思われるだろう。  なんで俺の学園での様子を知るためにこんなに近寄る必要があるんだ。  というか、俺が逃げ出せないように腕で阻まれているのも気になる。 「俺を目の前にして様子がおかしくなる人間は3種類だ。まず1、俺に惚れているΩやβ、女性だ。まず2、後ろめたいことがある奴。そして3、俺について人に話せない何かを知っている奴」 「……」 「何か隠し事が?」 「イイエ」 「じゃ、俺の秘密を知ってるか」 「秘密なんて、あるんデスカ。ちょっと、知りたいかも……」 「そうでないなら、お前、俺に惚れてるのか」 「……」  どれにも頷けないんですけど!!  というか、自分には秘密があるって、ばらしちゃうんだ。  そこのガードは低いのかよ。いや罠か?  東雲の顔が近寄ってきて、首筋に唇を寄せられる。  くっと東雲が笑うのがわかる。 「知ってるか。今年の1年には親の汚職や会社の急激な経営悪化でこの学園から転校処分になったり退学に追い込まれた生徒が多いんだと。他の学年じゃこんなことは今まで無かったのに、今年の1年だけ、妙に不正行為の摘発が多いらしい」 「……そうなんですね」  俺の仕業である。  他の学年とは交流の機会も少ないので俺も持っている情報を使って人を陥れたりしないのだが、同じ学年ともなると競争相手であるし、それでなくとも俺はαだ。αの世界は派閥争いや足の引っ張り合いも他のバース性より激しい。俺は自分が上の立場から引きずり降ろされそうになった際は容赦なく情報を使ってそいつらを社会的に抹殺していた。  勿論俺の手によるものばかりではないが、俺達の代だけ不正行為の摘発が多いのは事実だろう。 「お前も、不正行為に手を染めていなくとも隠したいことの一つや二つはあるだろう」 「いやー……ハハハ」  一つや二つどころの話ではない。真っ黒である。 「そんなお前が学園で平穏に生きられるように、俺が手ほどきしてやろう」 「……近いデス、先生」 「こんなときだけ先生呼ばわりか」  東雲の唇が俺の首筋をうっとりと伝っていく。  その感覚にぶわっと鳥肌が立った。

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