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第12話 後日のピロートーク
結局のところ、東雲の過去は奴自身の中でどう清算されているのか、俺にはわからない。
男たちに犯されてきたαが、俺というαを犯して、今は同じベッドで寝るような関係になっている。頑丈で壊れそうもない、αの男を犯すことでしか東雲の心は埋まらないのかもしれない。
動画のことについては、ベッドの中で一度聞いてみれば、あっさり真相を教えてくれた。
「母親が水商売で生きている女型のΩだったんだ。俺はその客のαとの間に生まれた。母親が発情期に引っ掛けた客らしく番にされたらしい。だがそのαにとっては一夜の過ちでしかなく母と俺は捨てられた。俺は母の客に女装させられてよく犯されていた。髪は長かったし母に顔立ちがよく似ていたから女とよく間違えられた。母は番になったα以外には誰にも身体を許さなかったから母に似ている俺に客の興味が向いた。俺がαだと判明すれば、そのうち客が連れてくる相手を犯すように命じられることも増えていって、俺は犯すのも犯されるのも両方やるようになった。動画を撮られていたことも何度かあったし、お前が持ってる動画に映っているのは俺だと言われても否定のしようがない」
昼夜逆転の水商売で身体がボロボロになった母親が病死し、施設に保護されるまでそんな状態が続いたらしい。
「母は守られるべきΩという立場をうまく利用して生きていたよ。俺が守護する側のαである限り、母を責めることはできないだろうな」
Ωもβも女も選び放題な東雲が、家に連れ帰るほど、それも頻繁に、俺だけに手を出しているのは何か理由があるのだろうか。Ωとはいえ母親には守ってもらいたかったはずだ。Ωも、βも、αも、誰も子供の東雲を助けなかった。
「……世の中を恨んでたから、血迷って俺みたいなのに手え出したんじゃねえの」
「この世の恨みが人間で発散できるかよ。お前は自分から俺の手の中に飛び込んできたんだろうが」
「自分から犯されるアホがいてたまるか」
恨み言を言う俺をベッドに沈めながら東雲は笑う。
「馬鹿な子ほど可愛いというだろ」
「俺みたいなαらしいαが可愛いってガラじゃねーだろ……」
「あの時、隠し事を暴くのに直接体に聞いてやろうと思ったくらいにはお前は可愛いぞ」
「教師が、生徒を狙ってんじゃねーよ……」
「こちらにも性癖があるもんでね」
!?!?
「この、エロ親父がッ」
俺は枕を東雲の顔に向けてブン投げる。
「親父というほどは歳離れてないだろ」
東雲が余裕そうに答える。こいつの場合、年齢はともかく本当に若い綺麗な見た目をしているから何も言い返せない。そしてエロは否定しないのかよ。
「九十九 那留」
「改まってなんだよ」
「よくここまで俺を懐柔したな」
懐柔って……。俺はあんたの過去の清算に関わることができたんだろうか。
αである俺とヤることで東雲に少しでも救いは見えたのだろうか。
「ちなみに俺の子供時代の動画を消す予定は?」
「ねーよ、くそっ」
俺は東雲に翻弄されながら悪態をついた。
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