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こうして二人はイチャラブバカップルになった

『君を愛してるんだ!』 『〇〇さん…私も、貴方を愛してるわ!』  ある日のお昼時、一人昼食を食べながらそんな感じの陳腐な昼ドラを観ながら利与那は思った  愛してるなんて、言われた事ないな……。 と。  そもそも、僕達の間に愛なんてないよなぁ。とカチャカチャと食器を片付けながら一人悶々と思案する。  先生の特殊性癖(?)に付き合いつつ、気付いたら体の関係もあるけれど。  所詮は他に行く宛もない僕と、先生の利害が一致しただけに過ぎないのだ。 「利与那は可愛いな」  そう言っていつも僕に優しく触れる先生。 それは[[rb:モルモット>玩具]]として?それとも……?  考えていると何だか胸がモヤモヤしてきたので、僕はそれ以上考えるのをやめた。 「うおーーー! 愛してるぞ誠実ーーー!」 「あーはいはい、アイシテルアイシテル」  僕は何を見せられているのだろう?  今日は先生がお休みだけれど、お友達と出かける用事があると言うので一人でいつものように買い物に来ていた。  たまにはスーパー以外も見ようと、少し遠くの大型モールまで足を運んだらこの光景である。 (なにアレ……? 先生のお友達? あの、なんか……チャラ男? みたいなのが……?)  知らない男に抱きつかれている先生を、遠くからマジマジと見つめる。  先生の顔に嫌悪感が無いと言う事は、本当に親しい仲なのだろう。 (愛してるって言ってた……)  友人間の戯れなのかもしれない、しかし、自分には言わない言葉を友人にはサラリと言う先生を見て、僕の胸はまたモヤモヤした。 (そもそも本当に友人なのだろうか?)  疑い出すとキリがなく、かと言って声をかける勇気もなく、胸のモヤモヤが晴れないまま僕はソっとその場から逃げ出した。 「利与那、どうした? ボーッとして」  夕飯時、黙々とご飯を食べていると心配そうに先生が顔を覗き込んできた。 「……何でもないですよ?」  誤魔化すようにニコッと微笑み返すが、先生は釈然としない顔で首を傾げる。  それを無視して食事を続けていると、僕のおデコに先生の手がソっと当てられた。 「熱は無いな、具合が悪いなら今日は早く休め」  そう言いながらいつものように頭を撫でようとする手がなんとなく嫌で、スッと頭を避けた。 「利与那?」  避けられた事に少し傷付いた表情をする先生になんて返せばいいのか分からなくて、僕はそのまま先生を無視し「ご馳走さまでした」とだけ告げると、そのまま自分の食器を持って台所へと逃げたのだった。 「……何やってるんだろう、僕」  あの後、猛スピードで食器を洗うと、更に自室へと逃げ込みそれからずっとメソメソしている。  さっきの態度はない。  きっと先生も呆れてしまっただろう。  もしかしたら怒ってるかも。  嫌われたらどうしよう……。 「……うぐっ、ふぇっ……ぜんぜっ」  考えれば考える程悪い方へ想像してしまって、涙が止まらなくなる。  そもそも今日はお昼からずっとおかしかったんだ。  僕はどうしてしまったんだろう。  コンコン、と部屋にノック音が響く。 「利与那、入ってもいいか?」  優しげな先生の声、僕の事を心配して来てくれたのだろうか? 「だ、だめでず!」  こんな涙でグチャグチャな顔を見られたくない、と僕は全力で拒否した。 「っ、泣いてるのか? 入るぞ」  僕の言葉の抵抗も虚しく、先生は慌てて部屋に入ってきた。 「どうした? 今日は何か変だぞ。何かあったのか?俺には言えない事か?」  そう言いながら、布団に潜り込んで籠城する僕の体を布団の上からポンポンとあやすように叩く先生。  どうしてこの人はいつも、こんな僕に優しく接してくれるんだろうか。  そんな彼だから、僕は……。 「やだ」  弱々しい声で拒絶する。 「何がだ?」  そうして、僕の顔の近くに先生の顔が近付いてくる気配がする。  僕の声を、言葉を、ちゃんと聞こうとしてくれる。 「優しく、っ、しないで、そうやって、子供みたいに」  嗚咽混じりで上手く出ない声を、一生懸命絞り出す。  自分でも何が言いたいのか分からなくて、ただ思った事がそのまま言葉として発せられる。 「僕だけが、先生の事……っ、好きで、勝手に、嫉妬して、バカみたい、も、やだっ、苦しいのは嫌なのに……!」  そう言うと本格的に泣き出した僕を、先生は布団ごとギュッと抱きしめてくれた。  それが嬉しくて、温かくて。  ……そうだ、ずっと前から気付いてた。  やっぱり僕は。 「……先生、好きです。大好き」  少しだけ布団から顔を出して、先生の顔を見ながら告げる。  きっと今、僕は凄い顔してるだろうなぁ。とか、髪もグチャグチャだろうなぁ。とか思いながら。  僕と目が合っていた先生の顔が、みるみる赤くなっていく。  そんなお顔も出来るんですね。 「あ、うん。そっか。そう、か」  モゴモゴとそう言いながら、目をそらす先生。  やっぱり、迷惑だっただろうか。  伝えない方がよかったかな……。そう思いながら、また泣きそうになる。  そんな僕の涙を、頬に手を添えながら親指で拭ってくれる先生。  そんなところも好きです。 「俺も、俺も……好きだぞ。うん、好きだ………………参った、そう……か。そっちか……」  そう言いながら気まずそうにする先生に、好きと言われた喜びと混乱で頭がグチャグチャになる。 「先生?」  そう少しだけ、少しだけいつもより甘えるように声をかけると、先生の顔がもっと近付いてきて、唇が触れた。  先生のキスは、いつも心臓が痛いくらいドキドキして、でも優しくて、好きだ。 「もっとちゃんと話し合えばよかったな、辛い思いをさせて悪かった」  唇が離れると、そう言いながら優しく僕の頭を撫で、ボサボサの髪を直してくれる。  今度は嫌じゃない。  その手にうっとりした心地になりながら、僕は先生に抱きついた。  その後の事。  その夜、僕と先生は仲良く添い寝しながら出会った日から今日までの事を話し合った。  先生は、僕が思っていたよりずっと僕の事を大切に思ってくれていた。  それが本当に嬉しくて嬉しくて思わずまた泣いてしまった僕を、今までで一番優しく甘やかしてくれた。  昼間の人についても、本当に学生時代からの友人で仲の良い人には誰にでもあんな感じらしい。  今日は、その人の恋人さんへのプレゼント選びに付き合わされていたそう。  今度、他の友人も含めて紹介してくれるって。 「アイツには、もう少し行動を自重するように注意しておく。恋人にも悪いしな」  そう言いながら苦い顔をする先生に、僕は少し笑ってしまった。  その日から先生はますます僕に甘くなって、恥ずかしいのもあるけど嬉しくて、僕もますます先生を好きになっていっている。  『愛してる』なんて言い合うような情熱的な仲ではないけれど、お互いをちょっとずつ理解していって、尊重出来るような関係になれたら良いなと思ってる。  この幸せを、二人でずっと大切にしていけるように。

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