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そんなこんなで湯船に浸かってるわけだけど。
それぞれ身体を洗ったり髪を洗ったりした後一緒に湯船に入った。ユニットバスじゃないだけマシなくらいの狭い湯船に向かい合って座ろうとしたら、樹に腕を引っ張られた。僕は樹の膝の上に座るような形になってしまった。背中は彼の肌に密着している。
「いっくーん……」
離れようとじたばたしても僕よりずっと大柄で腕力もある樹には敵うはずもなく、後ろから羽交い締めにされ動けなくなった。
「いい加減慣れればいいのに」
「むりむりっ」
そうは言いながらも抵抗しても無駄かと半分諦めかけた。そうすると樹の手の力が緩んで優しく抱き締められる。
「まぁ……いつまでも|慣れないナナが可愛くて好きなんだけど」
耳元で甘い声がした。
「いっく……」
お湯の熱さもあって頭がくらくらするようだ。
(もう! もう! いっくんたらっ)
高校で再会した時はあんなにクールだったのが嘘のようだ。お互いの気持ちが通じ合ってからの樹の僕に対する言動は甘くて甘くて甘くてどうしようもなくて、時々その甘さにぶくぶくと溺れそうになってしまう。
前に何気なく聞いたことがある。
『彼女がいた時もこんな感じだった?』
と。
樹の答えは。
『いや、全然。寧ろあまり興味なかったから冷たかったかも。だからすぐ振られた。相手から告ってきたのに』
そう言えば高校の頃友人からそんな話を聞いたことがあった。
『仕方ない。俺の心にはずっとナナがいたんだから』
軽く訊いた自分が馬鹿だった。樹の言葉にまた溺れそうになった。
「ナナ……好きだ……」
掠れた声が耳を擽り、肩に唇が当たる。でも当たってるのはそれだけじゃなかった。僕の太腿辺りに感じる硬さ……。
「ねぇ、いっくん。お風呂一緒に入るだけだって言ったよね?」
かなり遠回しな言い方だろうか。しかしはっきり口にするのも恥ずかしい。この四年間で数回だけ一緒に入ったそのすべてが『事』に発展してしまっている。だから僕は、今日一緒に入ることを承諾した時に「入るだけだからねっ」と念押ししたのだ。
それなのに。
「キスぐらいいいだろ」
『キスぐらい』と言いながら吐息はもう熱い。
「え、それだけじゃないよねっなんかめっちゃ硬いもの感じるんだけど」
「仕方ないだろ、好きな奴と一緒に風呂入ってたら反応もするさ」
項や肩や背中に唇を這わせながら前に回った両掌もあちこち彷徨っている。
(わ〜ん、全然仕方ないって思ってない〜)
「ナナだって……ほら……少し反応してる……」
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