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第4話

普段何も示し合わさなくても、ユキと俺は一緒に登校していた。しかし流石の俺もどんな顔をすればいいのかわからなくなってしまったので、一人逃げるように朝早く登校した。 部活の朝練の面々がちらほらと登校してくるような時間帯で、人はまだまばらだ。いつもギリギリまで寝ているのが当たり前だから、母親にも驚かれるほど早い時間だった。 人のいない廊下や教室はがらんとしていて、どこか空気が冷たく感じた。人がいるのといないのとではこんなに寂しいものなのか、と思ってしまった。 にしても早く着きすぎた、と少し反省する。教室に早く来たところで予習だのなんだのとするタイプではないので、完全に時間を持て余していた。 ユキを避けるために早く出たので、露骨すぎただろうか。 教室についても誰もおらず、やることもないのでとりあえず机に突っ伏して寝始めた。 寝てしまえば、ユキのことも考えずに済む、なんて思いながら。 不意に誰かに頭を小突かれ目を覚ます。目を覚ますと教室に多くの生徒が登校してきていて、がらんとしていた教室はもうなかった。 「コマ、俺のこと置いていった」 「悪い、なんかすげー早く目が覚めちまって」 小突いてきたのは当たり前にユキで、置いていったことに対して拗ねるような表情をしていた。 俺は用意していた言い訳を吐くだけだった。 「連絡くれればよかったのに」 「ごめんな、すっかり忘れてた」 「お腹は、もういいの?」 「え?」 「昨日痛いって言ってたでしょ?」 「あ、大丈夫!今日はもう元気だぜ!」 「そう?ならよかった」 一瞬、昨日自分がした言い訳のことを忘れていた。もしかするとユキにはこの嘘がバレているのかもしれないけど、それでもよかった。 「今日はゲームできそう?」 ユキにそう誘われて、驚く。昨日から彼女ができたんじゃないのか?彼女ができたら普通、彼女と過ごすものじゃないのか?どうしてそんな優しい顔で俺のことを誘うんだ。 これ以上、勘違いさせないでくれ。 「きょ、うは、野木さんと帰ったり、すんじゃねーの?」 「帰ったってその後一緒にゲームできるでしょ?」 「いや、放課後デート的なのとか」 「一緒に帰るくらいだから、その後コマとゲームできるよ」 ユキの表情や声は優しいはずなのに、なぜかその言葉が重たく冷たく感じて、断るに断れなくなってしまった。 「ゔ、わかった、今日はする」 「突然お腹痛くなったりしないでね」 「わかってるよ」 なんで、なんでこうなちゃったんだろう。俺は今まで通り、ユキと過ごせてたらそれでよかったのに。 どこからこうなっちまったんだろうか。 ほどなくして担任がやってきて、ユキは自分の席へ向かった。そのままなんとなくぼんやりとしながら、午前の授業を終えることになった。

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