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第6話

一人だと家までの道のりがこんなにも長くて寂しいものだと俺は知らなかった。いつもはユキが隣にいて、ずっと楽しくて、一人がこんなにも寂しいなんて思わなかった。 ユキと野木さんが二人で楽しそうに歩いている姿を見たくなかったから、ユキよりも早く学校を出た。でもその足はすごく重かった。 足が重いのは、帰りたくないのか、それともこのあとユキに会いたくないのか、どっちなのか今の俺にはわからなかった。 足元ばかり見て歩いていてはいけないと思い、ふと視線を上げると公園が目に入った。俺とユキが幼い頃によく遊んだ思い出の公園だ。 ユキは俺にしか懐いてなくて、俺もそんなユキが可愛くて仕方なかった。 「もう、ユキの一番にはなれないのかな」 一人そう呟くと同時に、目から涙が溢れる。俺はそれを慌てて拭った。 「俺になく権利なんて、ないんだから」 乱暴に涙を拭いて、家へと向かった。今日もゲームを断る理由もないし、家について自室で黙々とゲームの準備をした。 普段、二人のときどんな話をしてたっけな、俺らの普通ってなんだろうか。色々なことを考えていてもゲームの準備なんてすぐに終わってしまった。 ユキは来るのが遅くなるだろうと思っていたが、思っていたよりも早く俺の部屋にやってきた。 「お待たせ、コマ」 「お、おう!早速ゲームやろうぜ!」 「うん」 ユキが俺の隣に置かれたクッションに座った。いつもと同じ位置にクッションを置いたつもりだったけど、いつもこんなに近かったか?と思い、少しだけ自分のクッションを移動させてユキと距離を取った。 「コマ?」 「あ、いや、なんか、近すぎるかなーって思って」 流石に露骨すぎただろうか。でも今の俺はそんな些細な距離すら気になってしまったのだ。 「?いつもこんなもんじゃなかったっけ?」 「そうか!?でもなんか今日は暴れそうな気がしたから離れた方がいっかなーって思ってさ!」 「変なコマ」 「あ、あはは……!」 変に思われたとしても、ユキと少しでも距離が取れたならそれでよかった。 二人で対戦ゲームをするも、結果は惨敗。なんかもう踏んだり蹴ったりって感じだった。 「どうしたの、今日のコマ弱すぎない?」 「そ、んなことない!」 「俺に勝とうと必死になってるコマ可愛かったよ」 「か!!」 可愛いなんてそんなわけないだろう。ユキから可愛いなんて初めて言われたに等しいから、目に見えて動揺してしまった。 「何?」 「か、可愛くなんてない」 「ふふ、可愛かったよ」 「うるさい」 追い打ちをかけるようにユキは笑いながらそう言った。俺が勘違いしてしまうからそう言うのはやめて欲しい。そういうのを言うのは恋人だけにして欲しい、どう足掻いたって俺はもうそのポジションにはなれないのだけど。 自分で勝手に思考しながら凹んで、どれだけメンタルが弱っているのだろうか、と思った。 「じゃあ、今日はそろそろ帰るよ」 時間は19時前で、帰るにはちょうどいい時間だった。ユキはスクールバッグを持ち、立ち上がった。 「うん、あ、」 「どうしたの?」 「明日は……明日は一緒に昼飯食える?」 「もちろん」 「約束な!」 「うん、じゃあまた明日ね。あ、明日は先に行かないでよ?」 「う、わ、わかってる!」 おやすみ、と言ってユキは俺の部屋から出て行った。台所で夕飯を準備している母さんとユキが会話しているのを聞きながら、ベットに倒れ込む。 ユキと一緒にいるとつらいのに、一緒にいられないのがつらい、なんて矛盾してる。でもユキが告白した後も友達のままでいて欲しいって言った気持ちが今ならわかる気がする。 俺も苦しくてもユキのことが好きだから、そばにいたいのだ。

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