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第11話

次の日から、俺はまたユキのことを避けるようになってしまった。朝も早くに学校へ行って、昼は違う奴らと食べて、帰りはダッシュで一人で帰った。 なんとなくユキと一緒にいたくなくて、避けてしまった。あまりに露骨に避けるもんだから、他の奴らに心配されたりもしたけど、ユキに恋人ができていたおかげで寂しくて拗ねてるんだろ、と周りは適当なことを言ってそれ以上追求してこなかった。 ユキの寂しそうな表情を見るのはしんどかったけど、今の俺はユキと一緒にいることの方がしんどい気がしてしまったのだ。ごめん。 そんな生活を1週間ほど続けた、ある日のことだった。 「捕まえた」 「!!」 ユキにとうとう捕まってしまった。放課後にいつも通りユキから逃げ帰ろうと思ったのに一足遅く、下駄箱は抜けられたものの通学路で捕まってしまった。ユキに腕を掴まれ、振り解こうにも力が強く振り解けない。幸いにも学生が多く歩く通りからは離れていたため、俺がユキに腕を掴まれていようが変に思うような人は周りにはいなかった。 それ以前にユキの必死な表情を見ていたら、振り解くこともできなかったんだけど。 「な、何……?」 「何じゃない、避けてるのはコマでしょ?俺何かした?」 ユキの目は真剣で、はぐらかしたり誤魔化したりできそうな雰囲気ではなかった。 「ユキは、ユキは悪くない!俺が悪いんだ、と思う……」 尻すぼみになる。俺にはまだユキに上手く説明できるほど、自分の中の感情を整理しきれていないのだ。ユキがいくら不安そうな表情をしていても、俺はこの気持ちをユキに上手く説明してやれないのだ。 「どういうこと?俺は何もしてないのにコマに避けられる理由がわかんない。説明して。やっぱり俺のこと気持ち悪くなった?」 ユキの瞳が不安そうに揺れる。 「違うって」 「じゃあ俺のこと嫌いになった?そう言ってくれれば俺だってーー……」 「違うって!俺がユキのこと好きって気が付いちゃったから側にいらんなくなっちゃったんだって!!」 「……は?」 は?って言いたいのは俺なんだが?俺は今なんて言った?ユキが好き?待ってくれ待ってくれ待ってくれ! 一番言ってはいけないことを言ってしまった!動揺したのはユキも同じで、腕を掴む力が一瞬弱まった。 「え、あ、待って今のなし!ごめん!」 「あ、こら!コマ!」 俺はその隙にユキの腕を振り解いて逃げ出す。慌てていたとはいえ、あんなことを口走ってしまったからにはユキの側になんて入れるわけがないだろう。まさに脱兎のごとく、とは今まさに俺のことを指す言葉だと思う。 とはいえ、運動能力はユキの方が上なので、あっという間に追いつかれて再び腕を掴まれてしまう。 「待って、コマ、さっきのどういうこと?」 「どうもこうもない!さっきのはなし!嘘!」 「嘘、なの……?」 慌てて誤魔化そうとするも、ユキは酷く傷付いた顔をした。俺はユキにこんな顔をさせたかったのだろうか。 「嘘、じゃない……」 やっとの想いでそう言葉にした。声に出すと誤魔化しようがなくて、どうしようもなくて、自分の心臓の音がいやに響いた。 「じゃあ、説明してくれる?さっきの言葉がどういう意味なのか」 ユキは真剣な顔で俺にそう問いかけた。もう逃げらんないな、と思って腹を括った。俺も男だ、逃げてばっかじゃ格好がつかない。 「言っても、言っても引かねぇ?」 「引かない」 腹を括ったとか言いながらも、逃げ道を探そうとする狡い男でごめん。そんな俺にもユキは逃げなかった。

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