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第9話 児童相談員と会議
碧人君は今日から大学に通い始めた。
大学では教育学部の特別教育支援専攻なのだそうだ。
勉強も学校で学ぶよりも、現場での実習が多いとのこと。
へえ~、なんか色々なことが本気なんだなあと感心した。
本当に偉いよ。
今朝は今後の重要人物にお願いして、院長室に来てもらった。
山川先生と小林さんには事前に電話で内容を話しておいた。
病院とミツワの専属弁護士の山川先生。
そして颯太の生家の執事である小林さん。
児童相談所の相談員の加藤さんの3名が揃った。
「実は昨日保護した患者さんなのですが、
ひどい暴力を親から受けていて重症です。
これを見ていただけますか?」
「これは医療記録として撮影したものです」
山川さんがフォローしてくれた。
カルテの写真を3人に見せた。
「うわ~なんてひどいんでしょうか?よく生きていてくれましたね」
相談員が口元を抑えて涙ぐんでいた。
「悲惨としか言いようがないですね。本当にかわいそうです」と執事。
「私の診断は、傷とケガだけなら全治5か月。
長期間のストレスと暴力で、
恐らく3年~5年くらいの治療と経過観察が必要です」と俺。
「緊急扱いにしないといけませんね」
相談員の表情が引き締まった。
「経過をお話ししますと、陽菜ちゃんの幼馴染の子が、
酷い生活状況を前から聞いていたそうです。
それで万が一の逃げ場として、
自宅の物置に逃げるように言っていたということです。
それで最近学校に来ていないと、
近所の友人の伝手で聞いて電話をしたがつながらなかった。
メールをすると、物置にいるということが分かったのですが、
駆け付けた時にはもう今の状態になっていて、
倒れているような状態だったそうです。
それで、陽菜ちゃんの親に見つからないようにと心配して、
警察にも病院にも行けずに、歌手のゆおんを頼りに、
ミツワに陽菜ちゃんを運んでくれたんです。
あとはミツワの上川秘書が病院の加護室長に電話してくれて、
救急車で佐久間病院に運んでくれた。
というのが、昨日までの経過になります」
「そうでしたか、本当によくやってくれましたね。
その幼馴染の方は今はどうされているのですか?」と相談員。
「今日は大学に行ってもらいました。実はですね。
陽菜ちゃんに避難場所のアパートを借りるために大学を休学して、
昼夜バイトに励んでいたそうです。私も驚きました」
「なんか、まるで天使のような子ですね?」
相談員が感心して言うから、みんなでふっと和んだ。
「そうなんですよ。彼は教育学部で特別支援を学んでいるそうです」
「へえ~、うちに来て欲しいなあ」と、
また相談員が言うので、くすっと笑ってしまった。
「今はまだ陽菜ちゃんの状態を考慮して、
同じ病室で夜を過ごしてもらっています。
1週間くらいで陽菜ちゃんが落ち着くようなら、
その後は妻の颯太の生家に住んでもらおうと思っています。
陽菜ちゃんの父親からの追跡を逃れるためです。
陽菜ちゃんも退院後は、やはり生家にお願いしたいと思っています」と俺。
「補足しますと、颯太様の生家は広大で、セキュリティも厳重なんです。
常時警備員が見張っています。家の中には家政婦が4人と私。
それから運転手兼庭師が1名います。
なので安心してお預かりできる環境にあります」
小林さんが言い終わると、俺を見て微笑んでくれた。
「そうなんですね、分かりました。
最高の保護ができる場所だと分かりました」と相談員。
この後は皆で今後の細かいことを詰めていった。
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