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第14話 由紀サイド・スーツケース
山のような荷物。
これをこのまま病室に持ち込むわけには行かない。
地下でパンを買って、急いで帰宅した。
みんなでコーヒーとパンの食事を済ませたら、
今日の買い物の店開きだ。
「そういえばスーツケースがないよね?」と真知子ちゃん。
「ああ、そうねえ、それ忘れてた」とマツさん。
「良いわよ。行く時だけ私のを使って、
明日はちゃんとしたのを買いましょうよ」と私。
「賛成!」
それからみんなで値札やタグを外して畳んだ。
すべて終わると、結構いっぱいになった。
「ねえ。これ全部は病室の引き出しに入らないから、
今いるものを先に持って行った方がいいよね?
で、まだ入るなら、翌日持って行くことにしましょうよ」と私。
「そうねえ、そうするしかないわね。
だってまだ寝たきりなんでしょう?」と良子ちゃん。
「そうなのよ。肋骨を2本骨折しているから、
寝返りもできないのよねえ」と私。
「本当にかわいそうだねえ......」と真知子ちゃん。
「あーー!」と私。
「なに??」と声が揃った。
「靴下よ!ないじゃない?ハンカチもさ」
「ああ~そうだ。結構忘れるね。また買いに行きましょうよ」
「それにさ。財布や携帯だってないんじゃないの?
聞いてみたら?なかったらかわいそうだもん」と良子ちゃん。
「うん、今日行ったら見て来るわね」
忘れものだらけだった。メモした。
用意が出来たので小林さんと病院に向かった。
病室に入ると、陽菜ちゃんは目を覚ましていた。
「こんにちは、陽菜ちゃん。由紀です。具合はどうですか?」
声をかけると、少し頷いた。
そうか、まだ声が出せないのね。
「今日はね。必要なものを沢山用意したの。
全部陽菜ちゃんの物よ。
家政婦全員で選んだんだけど、気に入ってもらえるかな?」と私。
小林さんが、
「これは颯太さんからのプレゼントだから、お金は要らないんですよ。
だから遠慮しないで使ってね」と声をかけた。
そして私は、スーツケースから出しては、
「ほら見て?かわいいでしょう?似合うと思うわよ」
と1枚ずつ陽菜ちゃんに見せてから、引き出しに仕舞った。
タオルが少しはみ出したから、枕元のワゴンの下に入れた。
「最初に着ていた洋服はお洗濯するから持って帰るわね」
少し頷いた。
スリッパも見せて足元に置いた。
マグやポットはワゴンの上に。
白い整理かごには、基礎化粧品や鏡やくしを入れた。
「あのね。靴下を買うのを忘れたから、明日買って来るわね」
少し陽菜ちゃんが微笑んでうなずいた。
「お水を飲む?」
頷いた。
少しベッドを起こしてから、タオルを当てて吸い飲みで飲ませた。
「何か食べる?」
ううんと少しだけ首を振った。
私は飲むヨーグルトを買っていた。
「これは好き?」と聞くと頷いた。
「じゃあ、冷蔵庫に入れておくわね、碧人君に飲ませて貰うといいわ」
「ではそろそろ行きましょうか?」と小林さん。
「ではまた明日来るわね」
陽菜ちゃんが少し頬笑んだ。
受け入れてくれたかなあ?
いきなりだったから、驚いたかもしれない。
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