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第15話 碧人サイド・通信制高校

 夕方、ようやく大学が終わって陽菜の病室に行った。 しばらく大学を休んでいたので、その分を取り戻すのが大変になっている。 しょうがない。終わりよければすべてよし。 もう陽菜が脅かされる心配がないんだから、ありがたいことだ。 バイトは土日だけでも入れた方が、今後のためにもいいんだけど、 立花先生が辞めるように言ってくれたから、しばらく様子を見ようと思う。 病室に入ると、陽菜が目を開けて微笑んだ。 「ただいま、帰ってきたよ。今日はどうなの?」 ニコッと笑うと、見て見て!とばかりに引き出しを指さした。 「うん? 引き出し?」 うんうんと頷く。 引き出しを開けると、色とりどりのかわいい服や肌着がいっぱい入っていた。 「ええ? なあに、これ?」 俺が驚くと、陽菜がメモに “小林さんと由紀さんが持って来てくれた” と書いた。 「だってこれ全部高いでしょう?」 ううんと首を振る。 「これは颯太さんからなの?」 うんと頷いた。 「へえ~すごいんだねえ。まるで魔法使いだよ。女の子の趣味なんて分からないもんね」 またメモに書いた。 “家政婦さん達が選んでくれたらしい” だって。 「へえ~そうなんだ、すごいねえ~。良かったね、陽菜」 喜ぶ陽菜の髪を撫でた。 「髪をくしで梳いてあげるよ」 ベッドの上半身を少し上げた。 陽菜の髪はセミロングだ。 柔らかい髪をそっとくしで梳くと、陽菜が目をつぶった。 頬の赤いあざが少し治ってきている気がする。 そこへドアがノックされた。 ドアが開くと、立花先生と颯太さんが入ってきた。 「こんにちは」とあいさつをした。 「大学が終わったんだね。休んでいた分を取り返すのは大変じゃない?」 先生が心配してくれていた。 「いえ、それは大丈夫です。うちは座学よりも現場で実習する方が多いんです」 「へえ、そうなんだ。現場重視の学校なんだね」と立花先生。 颯太さんが陽菜のそばに行って声をかけた。 「陽菜ちゃん、具合はどうですか?」と颯太さん。 はにかむように、陽菜が頷いた。 「陽菜ちゃん、少し声が出るかな? あーと声を出してみて」と先生。 陽菜は口を開けて、数回はーと息を出すんだけど、声になっていなかった。 「うん、わかった。もういいよ。そのうち話せるようになるから、無理しなくていいよ」 立花先生が陽菜に温かい言葉をかけてくれた。 「もっと身体が治って力がついてくれば話せると思うから、焦らなくていいよ。 それとね、通信の学校の手続きができたんだよ。 これが資料だから読んでみてね。オンラインで授業を受けられるからタブレットも持ってきたよ」 先生と颯太さんが、資料やタブレットを入れた紙袋をくれた。 「え? タブレットまで頂いてもいいんですか?」 恐縮して颯太さんに尋ねた。 「うん。良いよ。気にしないで。少しずつ勉強が出来るといいね」と颯太さん。 「本当に有難うございます。何もかもお世話になりっぱなしで、本当にうれしいです。 それに陽菜に可愛い洋服までいっぱい頂いて、本人もすごく喜んでいるみたいです」 陽菜の顔を見るとうれしそうに、うんうんと頷いていた。 「うん、いいよ。なんかね、家政婦さん達が夢中になって洋服を選んで、すごく楽しかったらしいよ」と颯太さん。 「目に浮かぶな」と先生がくすくす笑っていた。

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