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第17話 カツカレー
陽菜ちゃんの転校手続きも終わり、あとはじっくりと治療していけば良い段階になった。
そして碧人君は一週間の寝泊まり期限が終わり、颯太の生家に預けられることになった。
颯太と一緒に生家に連れて行った。
車から降りると「うわ~‥‥‥」と声を出したまま、きょろきょろと周りを見回していた。
誰でも最初は驚く。
この港区の高台にある古い住宅地の中でも、圧倒的な広い敷地に建つ屋敷だ。
樹木が多く、門から玄関までが遠い。
SPが常に警備しているこの家に、
「ここが颯太の生家で、これから君が住む家だよ」と話した。
「はい、でもいいんでしょうか? こんなすごいおうちに居させていただくなんて、場違いではないでしょうか?」
「いいんだよ。陽菜ちゃんも退院したらここに住むから安心してね」と颯太。
車の音に気付いて、皆さんが玄関で待っていてくれた。
「ただいま」と颯太と俺が声をかけた。
緊張しまくっている碧人君を皆さんに紹介した。
「こちらはこれからお世話になる藤沢碧人君です。皆さんよろしくお願いしますね」と颯太が紹介してくれた。
「ようこそいらっしゃいました。まずは家の中にお入りください」
執事の小林さんが招き入れてくれた。
玄関だけでも広いもんね。誰でも驚くよ。
由紀さんをはじめ、家政婦の皆さんや運転手の横森さんも一緒だ。
広いリビングでソファに座ってもらった。
「碧人君、紹介するね。この家の全員になるんだけど、執事の小林さんと、筆頭家政婦の間宮由紀さん、家政婦の滝沢真知子さん、三沢マツさん、松見良子さん、そして運転手兼庭師の横森勇吉さんです」
颯太が皆さんを紹介してくれた。
家政婦の皆さんがニコニコして碧人君を見つめていた。
若い青年がうれしいのかな?
「初めまして、藤沢碧人と申します。
大学1年の18歳です。どうぞよろしくお願いします」
「碧人君も大変だったね。よく陽菜さんを守ってくれて偉いよ。これからはここを自分の家だと思って過ごしてください。みんなやさしいから安心してね」と颯太。
「そうですよ。碧人さんのお部屋は1階の奥に用意してあります。ご案内しましょうか?」と小林さん。
「あ、俺も見ておこうかな?」と颯太と一緒に部屋を見に行った。
そこは主を待つばかりの美しいホテルの1室のようだった。
「へえ~すごいね。ちゃんとベッドや、机と椅子も置いてくれたんだね?」と颯太が小林さんに言っていた。
「はい、テレビや本棚も置いておきました。これで用が足りるでしょうか?」と小林さん。
「うん、すごい、すごい」と感心している颯太。
「陽菜ちゃんの部屋はあるの?」と俺が聞いた。
「もちろんありますよ。隣の部屋です」と小林さん。
その部屋も見せてもらった。
室内には同じように、ベッドや机、椅子、本棚、テレビまで備えてあった。
まるでホテルの一室だな。完璧だ。
そこへ由紀さんから声がかかった。
「お夕食の準備が整いました。どうぞいらしてください」
そこには由紀さんのお得意のカレーが乗った、カツカレーやサラダが並んでいた。
若者に合わせたのかな?
俺の時は出なかったよなあ......。
まだまだ緊張しまくりの碧人君。
ぼーっとカツカレーを見つめていた。
「碧人君、あとでお風呂に入るといいよ。
お風呂が大きいからびっくりするよ」
俺がネタ晴らしをした。
「え? そうなんですか?」
碧人君が目を丸くした。
「もう先生、碧人君がビビっちゃうよ~」と颯太。
颯太が少し頬を膨らませた。
へへへ、おどかしちゃったかな?
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