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第25話 契約に密着
午後12時50分。我々は浅田タワー9階のアニメプラスの会議室にお邪魔した。
もちろん颯太、弁護士、広報スタッフ、今回は広報課長の加納さんもお出ましだ。
そりゃあそうだろう。
将来50億もかかるような事業になるかもしれないんだ。
お手本を見ておかないと何も言えないよね。
吉沢君も緊張した面持ちで座っていた。
5分前に夏さんや、桐生さん、佐伯さん、村瀬さんなどのスタッフの人が入って来た。
こちらは直立不動だよ。大勢で押しかけてしまった。
「皆さんお待たせしました。あれ? 弁護士さんもご一緒でしたか?」と夏さん。
くすくすとちょっと笑ってしまった。
「なんか広報と一緒に見学したいのだそうです」と俺。
夏さんも笑っていた。
「せっかくですから、どうぞ契約書の方をご確認ください」と桐生さんが気を使ってくれた。
「なんか、押しかけてしまってすみません」
山川弁護士もちょっと居心地が悪そうだった。
でも差し出してくれた契約書を確認していた。
「はい、結構です。ありがとうございました」
夏さんの視線が俺と合うと、一緒に頬が緩んでしまった。
「皆さんがいらっしゃるとのことで、一応契約書のコピーを用意しましたのでご覧ください」と桐生さん。
頂いたコピーを皆で目を皿のようにして見ていた。
給料は月に10万円だった。
そこから税金、厚生年金、健康保険料などが引かれるから、恐らく手元には6万くらいなのかな。
ただし、寮は無料だし光熱費も要らない。Wi-Fi付き。
朝食付きで昼と夜は福利厚生で1食400円の弁当がある。
すると食費が24000円か。
でも普通は家賃が55000円、光熱費が1万かかるとすると、実質は165000円の給料をもらっていることになる。
これは初任給としては普通だよ。
しかも安い弁当付きだから余程普通よりいいことになる。
家事をしなくて済むんだ。その分、練習が出来る。
部屋はホテルだから、清掃してくれてタオルも変えてくれる。最高だよね。
誰が見てもすごく良い待遇だと言える。
吉沢君本人も契約書に目を通していた。
「吉沢さん。一応この契約書はうちの顧問弁護士のチェックを受けています。今読んでもらって、なにかご不明点はありますか?」と桐生さん。
さすがの貫禄だ。社長だもんな。
「あ、いえ、何もありません。これでお願いします」と吉沢君。
「ではサインと実印をこちら3枚にお願いします。
その中の1枚は誓約書になります。主にマスコミやSNS対応、ルール違反等の確認です。
それから契約書は1年間になっています。
これは今後1年間の間に基礎練習をしてもらって、終わった時点でどう売り出していくか? という段階になりますから、2年目からはまた別契約になります。いいでしょうか?」と桐生さん。
「はい、結構です。それで住まいは2年後もレジデンスに入れていただいたままでもいいんでしょうか?」と吉沢君。
「はい、いいですよ」と桐生さん。
吉沢君はさらさらとサインをして実印を押していた。
そして広報の田代君は早速一部始終を録画していた。
今日はずっと録画するんだって。
契約は10分程度で終わり、
「では今後頑張ってください」と桐生さんから激励を受けていた。
「はい、ありがとうございます。頑張ります」と吉沢君。
「じゃあ、すべてご案内しますから、先にアニメプラスの事務所に行きましょうか? 吉沢君も一緒に見学してください。全体が分かりますからね。あとでトレーナーや仲間に紹介しますね」と夏さん。
皆でゾロゾロとアニメプラスの事務所に伺った。
俺も初めてだ。部屋に入ると皆さんが立ち上がって会釈をしてくれた。
「じゃ、紹介しますね」と夏さん。
一人一人、名前と役割を丁寧に説明して教えてくれた。
田代君は必死でそれを録画していた。山下さんは録音係。
万が一録画を失敗した場合を考えたそうだ。(笑)えらい!
ファンクラブ対応はメグちゃん。
俺も知っている熱血メグちゃんだ。
アイデアがすごいよ~。
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