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第28話 吉沢君のライバルたち

 北原院長にソフトクリームをご馳走になった後は、また赤坂に戻った。 今日は浅田タワーのイベントホールでステラビートがダンスのレッスンをしているそうで、 吉沢君に仲間とトレーナーを紹介しますということだった。 皆でお邪魔すると、迫力と緊張感が凄かった。 トレーナーのみずきさんの号令が飛ぶ飛ぶ! おっかない。 吉沢君もちょっとビビったんじゃないかな? 「では皆さん、ちょっと集まってください」と夏さんが声をかけると、サーッと集まった。 吉沢君が前に出た。 「今日から皆さんの仲間になります、吉沢達也君です。 レジデンスに住む予定です。皆さん仲良くしてあげてくださいね」 「吉沢達也です、どうぞよろしくお願いします」 深くお辞儀をしていた。 皆がパチパチと拍手をしていた。 その割には、みんな中々鋭い視線を彼に向けていた。 それはそうだよね。 同じプロになろうとしているのだからライバルなわけだ。 「吉沢君は明日から練習に参加しますので、皆さんよろしくお願いします」と夏さん。 そのまま部屋を後にした。 「あとは事務所に戻り、明日からのスケジュールや、タイムカードや有休などについて細かい説明があります。 皆さんもいらっしゃいますか?」 顔を見合わせていたが、 「はい、お邪魔かと思いますが、ぜひご一緒させていただけますか?」 と広報スタッフが根性で食いついていた。 中々熱いなあ......。 もう夏さんも疲れただろうし、録画を撮っているので俺と山川さんはここで失礼することにした。 「どうもありがとうございました。有意義な勉強をさせていただきました」 とお礼を伝えて失礼した。 夏さんくらい忙しい人もいないのに、丸1日を使わせてしまったんだ。 そのご厚意は十分に頂いた。 その後、車の中で「どうでしたか?」と山川さんに尋ねた。 ふっと苦笑いをしていた。 「いやあ~あれはねえ。50億じゃ絶対足りませんよ。 レジデンスの買い上げだけで何十億ですよ。 もう軽く百億以上かかっていると思いますよ。 しかもあの菜の花病院の発展ぶりですよ。 あそこも浅田工業がやってるなんてね。 赤坂もですから、もう恐ろしくて聞けないですよ」 俺も一緒に苦笑した。 「全くねえ、何があんなに発展させたんでしょうねえ?」と俺。 「やっぱり人じゃないですか? 人に恵まれたというか、いい人を引き寄せたというか、 そういう全体的な強運もあるんでしょうなあ」 本当にその通りで、ますますミツワが遠のいたような気がする。 最後まで見学した広報スタッフはどんな結果を出すんだろう? 楽しみのような、怖いような……。 でもそんなに無謀なことはやろうとしないだろうという気がしている。 颯太も一緒に帰ると言うかと思ったら、意外にもスタッフ達と残って最後まで見学するんだって。 へえ~なんか、火が付いたのかな? 面白い。後でじっくり聞こう。

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