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第32話 碧人サイド・ドライシャンプー

 陽菜の顔を見に病室に行った。 結構元気よくタブレットに入力していた。 俺を見ると手を振って笑顔を見せた。 なんかうれしいな。 リュックから、陽菜の好きなヨーグルトドリンクを出して渡した。 陽菜が「あっ」という表情になった。 「あれ? 要らなかった?」 ううんと首を振って、 <今日から毎食にヨーグルトドリンクをつけてくれることになった> だって。 「へえ〜良かったね。だって好きだもんね」 頷いた。 <院長先生が付けてくれるように手配してくれたの> 「へえ〜そうなんだ、良かったね」 うんと明るい表情を見せてくれて、俺もうれしかった。 「チャットはやってるの?」 うん、と頷いて、みっちゃんのチャットを見せてくれた。 色んな事を喋っていた。 結構にぎやかだ。「みっちゃんって明るい子なんだね」 うんと頷いた。 「喋れるといいねえ」と思わず言ってしまった。 すると、悲しそうに俯いてしまった。 「ごめん。陽菜、変なこと言っちゃった」 陽菜の手をぎゅっと握った。 ううんと首を振った。 はあ、いつまでこれが続くのかなあ? 先が長すぎるよ。 俺は早くも根を上げそうになった。 <もう少しで管が取れたら、一人でトイレに行けるって今日言われたの> 「え? そうなの? 良かったねえ。もし一人で動いたりできたら、きっと退院出来るよね? そしたら颯太さんの家で二人で暮らせるよ」 俺はそれがどれだけ待ち遠しいか……。 うんと恥ずかしそうに頷いた。 <昨日の夕食は何が出たの?> 「あ、昨日はねえ、魚の煮たのと茶碗蒸しと、きんぴらと揚げシューマイと浅漬けかな」 <すごいご馳走だね?> 「うん、そうなんだよね。本当に申し訳ないよ。毎日お弁当まで作って渡してくれるんだよね」 <え? お弁当も作ってくれるの?> 「そうなんだよ。陽菜が高校に行けるようになったら、きっとお弁当を作ってくれると思うよ」 <わ〜い、楽しみ〜> はは、笑った。 そうだ、「陽菜。ドライシャンプーを買ってきたよ。今から髪を洗ってあげるね」 え? という驚いた表情をした。 「これだよ。見て、スプレーになっていて、これを髪にかけてタオルで拭きとると汚れが落ちるらしいよ」 バスタオルを頭の下に敷いた。 そして首周りにもタオルをかけた。 顔にもタオルをかけて、スプレーから出る泡を髪につけていった。 そして軽く泡を髪の毛につけて、軽くこすった。 そして泡をタオルで拭きとる。 すると本当に髪の毛がきれいになっていた。 「あ、陽菜。すごく髪の毛がきれいになったよ」 全体に泡を拭きとると、今度はお湯で絞ったタオルで髪の毛を全体に拭いていった。 終わると手櫛しながら、持って来たドライヤーをかけて髪を乾かした。 しばらくすると乾いてきたようだ。 顔に掛けていたタオルを取った。 すると陽菜が手で髪を確かめていた。 「どう? さらさらになったでしょう?」と聞くと、 うんうんと嬉しそうに笑っていた。 ああ〜陽菜が笑っている。

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