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第33話 陽菜サイド・華ちゃん
入院してから10日くらいになる。
胸の痛みが少しずつ和らいでいる。
チャットでみっちゃんと時々話しているけど、みっちゃんの授業中は出来ない。
それが寂しいなあ。
そこへトントンとノックされた。
そっとドアが開くと、知らない女の子だった。
部屋を間違えたのかな?
でも私を見ると、ハーイ!とばかりに片手をあげてニコッとした。
私も片手をあげて少し笑った。
彼女は私の近くにそろそろとやってきた。
なんだかショートカットの愛嬌のある子だな。
「あなた、声が出ないの? 小耳に挟んだ。私は隣の病室に入院してるんだよ。
名前は三谷華子って言うの。はなちゃんと呼んでね。
本当は他の病室に行っちゃいけないんだけどさ、こっそり来ちゃった」
くすっと笑った。
そしてタブレットに
<私は山下陽菜です。高校2年です。よろしくね!>
と書いて見せた。
「へえ、陽菜ちゃんか。高校2年だったら私と同じだ。
でも私、ずっと学校には行ってないんだよねえ」
<私もあまり学校に行ってなくて、最近通信の高校に転校したばかりなんだよ>
「え? どこに行ってるの? 私もそっちに行きたい!」
それで説明書が横のワゴンの下の戸棚に入っているから、と指さした。
「え? この中にあるの?」
うんうんと頷いた。開けて、と手で教えた。
そっと扉を開けて、学校の封筒を取り出していた。
「へえ。ここなんだ。自由に通える学校なんだね。
良いねえ〜。私もそういう自由なところに行きたいよ」
<転校すればいいじゃない? 簡単に出来るよ>
「そうなの? ねえ、ちょっとこれ借りていい? よく読ませてくれない?」
うん、いいよと笑顔で頷いた。
華ちゃんはそれを持って部屋を出て行った。
ふふ、どうするのかな? 仲良しになりたいな。
それからお昼ご飯を食べて、またチャットをやっていると、華ちゃんがまたやってきた。
「あのねえ〜私、思い切って院長先生にお願いしちゃった!」
え? なんだろう?
「これ、ありがとうね。学校の説明書を読んだよ。
もう絶対行きたくなった!
それでね、先生が両親に話してくれることになったの」
わあ〜すごいねえ〜。
華ちゃんの両手を握って何回も振った。
「えへへへ、すごいでしょう? もう一世一代の決心だったよ。
これを逃したら二度とチャンスが来ない気がしてさ。
だって陽菜ちゃんと一緒に学校に行きたいもんねえ」
私はいっぱい拍手をした。
二人でまた手を握って喜び合った。
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