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第41話 学生寮だと思って
里奈ちゃんを連れて颯太と生家に向かった。
SP付きの車に驚いていたせいか、落ち着かない様子だった。
そして車に乗ること約30分。
生家に着くと、さらに驚いて周りを見回していた。
「ちょっとびっくりしたよね? 颯太の生家は大きいんだよね」
もう頷くだけだった。言葉が出ないようだ。
玄関に入ると小林さんや由紀さんが迎えてくれた。
「ただいま〜」と颯太と俺が声を揃えた。
俺もすっかり立花の人だな。
早速紹介した。
「こちらがお話しした佐倉里奈さんです。よろしくお願いします」
「はい、ようこそいらっしゃいました。執事の小林です」
「里奈ちゃん、筆頭家政婦の由紀です。よろしくね」
「佐倉里奈です。どうぞよろしくお願いします」と深くお辞儀をしていた。
「さあ、ソファの方へどうぞ」と由紀さんが里奈ちゃんを案内してくれた。
「すみませんね。この度はお世話になります」と俺。
「いいんですよ、皆さん颯太様のゲストですから、かまいませんよ」と小林さん。
由紀さんが紅茶とケーキを出してくれると、
「ありがとうございます」と立って里奈さんがお礼を言った。
「あらまあ、座ってていいのよ。このケーキは私が作ったのよ。召し上がれ」と由紀さん。
「事情は颯太からお聞きですよね?」確認した。
「はい、伺いました。16歳でバイトを探すのはつらいですよ。
ここにいらっしゃればいいですよ」と小林さん。
「それで相談って何だったんですか?」
「あ、じゃあ、ちょっと部屋の方を見てもらいましょうか?」と小林さん。
個室がある方の廊下を進んだ。
「ええとね、最初に碧人君の部屋、次が陽菜ちゃんの部屋、
3つ目が里奈さんの部屋になります。
一応同じような作りになっているんですよ。
里奈さんどうぞ。こちらが里奈さんのお部屋ですよ」と小林さん。
「え? いいんですか? こんなすごいお部屋……私一人で使ってもいいんですか?」
部屋中を見回していた。
「里奈ちゃん、部屋の写真を携帯で撮ってね。あと、家のあちこちを撮っていいよ。
後でお母さんに見せないと心配されるでしょう?
それに俺も颯太もあとでご挨拶に伺いますよ。
とりあえず身の回りの荷物を運ばないといけないしね。お母さんに電話してくれますか?」
「はい、今します。ありがとうございます」
携帯を持って部屋の外に出た。
「ところで、小林さん。相談って何だったんですか?」と俺。
「私の勘なんですけど、恐らくこれから颯太さんを頼って、
若い方々がどんどん増えて来ると思うんですよ。
それで空き部屋がこの3つはあるんですが、隣に和室の大広間が二つあるでしょう?
これを区切って、洋室に内装を変えたらどうかと思うんですよ。いかがでしょうか?
それとトイレや洗面所も増やし、洗濯機や乾燥機も増やした方がいいと思うんです。
学生寮の感じですね。あと、洗面所とバスルームですね。
時間が夜に重なると男女がいますから、不便かと思うんですよ」
「ああ、いいねえ! そうしてくれますか?」と気軽に答える颯太。
「お手数をかけますが、お願いしてもいいですか? 内装はもうお任せしますよ」と俺。
「はい、ミツワの建築士に来てもらって相談します。
それとですね。もう一つあって、上川秘書に伝えて欲しいんですよ」
「はい、何でしょうか?」
「このうちの近くに、中規模のアパートかマンション。
できれば学生寮や社員寮が一番いいんですが、探してもらいたいんです。
将来のためです。もし物件があるなら連絡が欲しいんです」
「はい、分かりました。伝えますね。やはりもっと増える予感ですか?」
「そうです。有名人で成功していて、オメガを公表されているのは恐らく颯太様だけです。
今後はどんどん増えると予想されます」
「うん、そうですよね。実は俺もそう思うんですよ。
いくらオメガが希少だとしても、今まで隠れていた人達がもっといるはずなんですよね。
ヒートがあるから、中々定職が難しいようで、生活するのも大変だと思いますよ」
「はい、気の毒な事です。でも颯太様には力があるので、
どんどんお引き受けになられても大丈夫です」と小林さん。
「うん、そうだよ。どんとこいだよ」と颯太が言うので、二人でぷっと笑った。
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