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第42話 騙されている?
そこへ里奈ちゃんが部屋に戻ってきた。
「どうだった?」
「あのう……それが、騙されているんじゃないかって怒ってるんです」
「うん、普通はそう思うかもね。では行きましょう。伺ってご挨拶するから大丈夫だよ」と俺。
そして里奈ちゃんのアパートに着いた。
こっちはSPの車を2台と、荷物を乗せるために生家の運転手・横森さんにも来てもらった。
里奈ちゃんが部屋に入って行き、お母さんが出ていらした。
「どなたでしょうか?」
「初めまして。私は佐久間総合病院の院長、立花と申します。こちらが名刺です。そしてこちらが妻の立花颯太です」
「初めまして。歌手のゆおんです。本名は立花颯太で、ミツワの名誉会長をしています」
颯太も名刺を差し出した。
お母さんは二枚の名刺をじっと見つめ、顔を上げた。
「ええ? どういうことですか? 全く存じ上げないお二人ですが、娘とどういう関係なんですか?」
「ご心配だと思いますが、今日初めてお嬢さんとお会いしました。
そして“バイト先がなくて困っているので、何か仕事がないでしょうか”と颯太の会社宛てにメールをいただいたんです。
まだ16歳ということで、詳しいお話を伺うために今日お会いしました」
「里奈、そうなの? 今日初めて会ったの?」
「うん、そうだよ」
「実は颯太の家はとても大きくて、家政婦さんが4人、執事と運転手もいます。玄関前には警備の者が常駐していて、とても安全な家なんです。
今までもメールで頼ってくる若者がいて、すでに高校2年の女の子と大学1年の青年をお預かりしています。学生寮のようなものだと思っていただいて構いません。
颯太が“里奈ちゃんも預かりたい”と言っております。
ちゃんと個室がありますから、ご心配されることはありません。
いまもSP付きの車でお迎えに上がりました。
部屋の設備は整っていますので、身の回りの物だけ運ばせていただければ大丈夫です。
お母さまも、ぜひ一度いらしてください。安全だということが分かると思います。
費用も一切かかりません。どうか心配なさらないでください」
俺はできるだけ丁寧に、落ち着いた声で説明した。
お母さんは突然のことで、考えが追いつかないようだった。
「よろしかったら、里奈ちゃんと一緒に家までいらっしゃいますか?
帰りは運転手がお送りしますよ」
「え……どうしよう……」
「お母さん、そうさせていただく? だって心配でしょう?」と里奈ちゃん。
「うん……じゃあ、そうしようか?」
「先生、母と一緒に伺ってもいいですか?」と里奈ちゃん。
「うん、もちろん構わないよ。どうぞ荷物をまとめて車に乗せてください」
里奈ちゃんは慌てて荷物をまとめ始めた。
「里奈ちゃん、勉強道具と一週間分の荷物でいいよ。週末にまた取りに来ればいいからね」
「はーい」
お母さんも奥に引っ込んで支度をしているようだ。
「颯太、小林さんに連絡しておいてくれる?」
「はい、わかりました」
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