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第43話 巣立ち

 先導車にお母さんと里奈ちゃんに乗ってもらい、 横森さんの車には荷物をいっぱい積んでもらった。 やがて生家に着くと、小林さんと由紀さんが出迎えてくれた。 お母さんも周りの景色に驚いたようで、きょろきょろと見回していた。 警備の人にも丁寧にお辞儀をしていた。 「ようこそいらっしゃいました」 小林さんと由紀さんがお母さんに挨拶した。 お母さんは深く頭を下げられた。 ──ようやく信じてもらえたかな。 「どうぞお入りください」 颯太が堂々と案内している。 ……颯太、成長したな。 横森さんに荷物を部屋へ運んでもらうようお願いした。 「里奈ちゃん。お母さんに部屋を見ていただいたら?」と俺。 「はい。お母さん、こっちだよ」 二人は連れ立って廊下の奥へ消えていった。 その間に由紀さんがお茶を淹れてくれた。 「由紀さんもお世話をかけますねえ」 「いえいえ、これが本来の立花家ですよ。 昔は毎日毎日、大勢のお客様でいっぱいだったんですよ」 「へえ、そうなんだ。すごいねえ」 颯太は知らん顔をしていた。 それはそうだ。颯太が知るはずがない。 お父さんは、颯太の母親が亡くなると、たった4歳の幼子を置いて家を出ていった。 颯太は親の愛を知らずに、ずっと一人ぼっちだった。 寂しさが骨身に沁みているから、今は甘えん坊なんだよ。 やがて、お母さんと里奈ちゃんがリビングに戻ってきた。 お母さんは恐縮しきっていた。 「本当になんと言っていいか。こんな立派なお部屋まで用意していただいて、 __親がふがいないばかりに、本当に申し訳ありません」 そう言って涙を流された。 ああ……皆で顔を見合わせてしまった。 里奈ちゃんも、もらい泣きしていた。 「お母さん、大丈夫ですよ。これからもどんどん仲間が増えていくと思います。 皆さんをまとめてお世話すると颯太が言ってますから、ご安心ください。 それに、ちゃんと何かしらの仕事もしてもらいますから、胸を張っていてくださいね」 「はい……分かりました。どうぞ皆様、里奈をよろしくお願いします」 立ち上がって深くお辞儀をされた。 由紀さんが「お食事のご用意があります」と言ったが、丁寧に固辞されて帰っていかれた。 里奈ちゃんは、いつまでも泣いていた。 「里奈ちゃん、子どもはいつか親の元から離れるんだよ。 大人になったということだから、嘆くことはないよ。 いつでも会いに行けばいいんだからね」 里奈ちゃんは、うん、と大きく頷いた。 「荷物を片付けておいで。もうすぐ夕飯だよ」 「はい」 自分の部屋へ戻っていった。 ふと颯太を見ると静かに泣いていた。 「颯太、おいで」 両手を広げると、 颯太はそっと胸に縋ってきた。 その小さな震えごと、強く抱きしめた。

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