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第47話 社長の励まし

小林さんがすごく素敵なことを言ってくれた。 「全部を財団で建てなくてもいいですよ。 家政婦のアパートと蔵と本家は、すべて立花家の財産で賄います」 「え? いいんですか?」と俺。 「はい。この計画には多くの準備が必要なようです。 家政婦たちの仕事も分担して、リーダーとしてやってもらいますよ。 カフェをやるなら、料理やドリンクも修業しないといけないでしょう? 陽菜ちゃんや里奈ちゃんに覚えてもらうと良いですよ。 やるとなったら、綿密な時系列での計画が必要ですね。 よろしければ、私が書き出してみましょうか?」と小林さん。 「うわ〜、ぜひお願いします。助かります」と俺。 「では、この話は事前に社長の耳に入れておいた方がいいですね。 正式に発表するのはあとでいいと思います。どうでしょうか? 今、社長室に皆さんで伺いましょうか?」と上川秘書。 ありがたい。 「そうですね。思い立ったら吉日ですよ」と山川さん。 そして上川さんが社長室に電話して、10分だけ時間をもらった。 皆で押しかけた。 社長はにこやかな笑顔で迎えてくれた。 「一体どうしたんですか? 皆さんが揃うなんて、よほどのことじゃないですか?」と社長。 「颯太から申し上げた方がいいよ」 「はい。実はですね…… オメガのための〈ミツワ未来財団〉を作りたいんです。 資金はすべて俺が出します」と颯太。 「ほう〜。それはそれは……またどうしたんですか?」と社長。 颯太が俺を見て、助けを求めるような目をした。 「では私から詳細を申し上げます。 最近、立て続けにオメガの未成年から相談やヘルプのメールがありまして、 事情を聞くと、こちらが助けないとどうしようもない事例ばかりでした。 それで今、颯太の生家に預かって暮らしてもらっています。 しかし、オメガで成功した人は颯太くらいだと思うんです。 だから皆、ミツワにメールして助けを求めてくる。 16歳なのに家庭の事情で居場所がなく、通信制の高校に行きながらバイトを探す。 でもヒートでクビになってしまう。 親の暴力で重傷を負う子もいる。 この調子だと、助けを求める人がどんどん増えそうなんです。 そこで思いついたのですが……このプリントを見ていただけますか? 大体の構想の段階ですが」 社長はプリントを手に取り、じっくりと目を通してくれた。 「ふんふん……なるほど。 財団を作ることでビルができ、観光ガーデンやカフェ、ショップを作ることで仕事を生む、ということですね?」 「はい。80名から120名くらいのオメガに仕事を確保できます」 「う〜ん……そうだねえ。 生家の広大な土地を全部使うなんて、大胆な発想だけど…… これは社会的な意義のある、大きな一歩ですね。 いいでしょう。 ミツワの名前が頭に付いている以上、スタッフを派遣するなり、ボランティアをするなり、広報活動の一部にしましょう。 大いに会社も協力しますよ。 資金を一部、財団に寄付してもいいですよ」 「うわ〜、そうですか? 本当にありがとうございます。うれしいです」と俺。 「いやいや。ミツワもね、そろそろ社会的な還元を考えるべき時期なんですよ。 だから、かえって助かりました。こちらがお礼を言いますよ。 本当にありがとうございます。 颯太名誉会長── ミツワにふさわしい行いで、私はうれしく思いますよ」 「はい。社長、ありがとうございます」 颯太は少し照れたように笑った。 こちらも皆で深くお辞儀をして感謝した。 そして部屋を後にした。 社長から温かい言葉をいただいて、 本当に勇気が出た。

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