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第49話 ラブコール
メールをしてから30分ほどすると電話がかかってきた。
「大谷ですが、ご連絡をありがとうございます。立花陽一さんですか?」
「はい、そうです。初めまして。お電話をありがとうございます。実は、大きな……というか、大谷さんでないと出来ないと自分では思っている、手間のかかるかもしれないお仕事をお願いしたいんです。どうしてもなんです」
笑っていた。
「あらら、どうしましょう、すごいラブコールじゃないですか?ふふ」
「では、ざっと内容をお話しください。それによって時間を作りますよ」
「はい。私は佐久間総合病院の院長で、立花陽一と申します。赤坂にあるミツワの医療顧問もしています。
そして歌手のゆおんの夫です。ゆおんの本名は立花颯太と言います。ミツワの当主で名誉会長をしています。ゆおんをご存じですか?」
「もちろん知っていますよ。彼の歌や声が大好きですよ」
「ああ、良かった」
くすくす笑う声が聞こえた。
「実はこの度、弱者たちを助けるためにミツワ未来財団を颯太が立ち上げることになりました。
財源はすべて颯太が出します。
そこで立花家の本家の敷地をほとんど使って観光ガーデンを作りたいんです。
他に、弱者のための7階建てのビルも敷地内に建てようと思っています。
あとはカフェや、イタリアの明るいイメージのショップです。
場所は赤坂の高台で、全部で1万坪くらいあります。
一度ぜひお時間をいただいて、見に来ていただけないでしょうか?」
「わお!話が凄いですね。ええと、7階建てのビルって予算はいくらなんですか?」
「恐らくビルの建設だけで60億くらいかと思います」
「それで、ほかの施設などを入れると最終的にいくらになるんですか?」
「立花家の本家も一部は賄ってくれるそうですが、80億くらいかと思います。ただ、これはまだ俺が考えた青写真なので大体ですが……資金面は全く問題ありません。
庭作りが一番大事なので、庭の予算の上限はありません。好きなように作ってほしいんです」
「まあ、どうしましょう。私、吹っ掛けますよ?」
ふふと少し笑っているようだ。
「良いですよ。吹っ掛けても構いません。ただ、ガーデンの雰囲気を大事にして、周りの建物の外観も一緒にデザインしてほしいんです。どうしても庭にいると建物が見えてしまいますよね?
それで、雰囲気だけでもいいんです。
それを元に建築家に依頼して、敷地内には家政婦用のアパート10室、温室、物置、蔵、本家……すべてを建て直す予定です。
結局、庭にいる人の夢を壊さない外観にしたいんですよ。
だから真っ先に、ガーデンのイメージ作りと、それを取り囲む建物も含めてデザインしてほしいんです」
「わあ〜どうしよう。それは大掛かりですねえ。
実は今、他に大型案件を受けていて、手が空くまではあと半年はかかるんですよ。
どうしようかなあ……でもそんなに時間がないですね。
――そしたら、明日朝から伺いましょうか?
現地を見せていただいて、それからにしましょう。
どちらにせよ、ビルが出来ないとオープン出来ないですよね?するとあと3年以上はかかりますよね?
今から植物の発注を始めれば、なんとかなるかもしれませんね。
なんだかワクワクしてきました。
港区の高台にそんな広大な土地があったんですねえ、さすがですよ。
都会の真ん中なので、多くの方に見てもらえそうで、それは楽しみですね」
電話を切ったが、快く引き受けてくれると確信して安心した。
本当に大丈夫かな?
それで明日の10時に赤坂の駅に迎えに行くことになった。
先にミツワの会長室にご案内して、弁護士や上川秘書にも紹介したい。
もちろん肝心の颯太にも時間を作ってもらうよ。
ところで、1万坪。
これが正しい敷地面積なのだそうだ。
小林さんが、隣の敷地だと思っていた長い土手があるんだけど、
そこは明治時代に取得した立花家の土地だったらしい。
今回、正式に測量してもらったそうだ。
だから壁の外に土手がある。
今回は外壁を修正することから始めないといけない。
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