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第51話 生家を案内して

  梨々子さんからの質問だ。 「このおうちを減築して建て直すということでしたが、 どれくらいの大きさにするんですか?」 俺は小林さんを見た。ヘルプだ。まだ考えていない。 「今、建物だけでも300坪あります。 減築して蔵も本家のそばに作りますので、敷地的には70%くらいになるだろうと予想しています。 門から玄関まで全部作り直さないとだめでしょうねえ。 SPの待機所を作らないといけないし、ガレージや車寄せも必要です。 最終的には本家の前に車を10台くらいは駐車できるようにしたいですね。 工事中は業者の車を停める場所も確保しないといけないのでね」と、小林さん。 「最終的にはセキュリティの面で、生家は完全に囲ってしまわないと守れないんですよ。 またオメガビルもオメガの安全のために、かなり守られるようにしないとだめでしょうねえ。 もちろん警備は付けますよ」と俺。 「工事中は無機質な白いパネルで覆ってしまいます。 最後は雰囲気のある壁でふさぐ感じになりますが……、いいんですか? お庭が見えないと思いますが」と梨々子さん。 「そこはしょうがないですね。 2階から庭が見えると思うので、それはいいと思います。 1階の壁には、ところどころ窓というか、 植木でややふさがっている感じでもいいので、少し抜け感があるといいですよね。 ただしその時は防弾ガラスでないとSPがOKしないと思います。 でも家から見た景色に抜け感が出ると思うんですよ」と俺。 「そうですね、こうなると塀の上の部分ですね。 ちょっと夢があるような2階の景色が出来ると素敵ですよね。 三角の出窓などがいくつかあると、 ガーデンから見ても雰囲気が良いと思うんですよ」と梨々子さん。 今日は家政婦さんも揃ってダイニングテーブルから、 この話を聞いているんだけど、みんな音が出ないように拍手をしていた。 あれ?みんなが微笑んでいて嬉しそうだった。 それを梨々子さんも笑顔で見ていた。 「それと、壁の内側には坪庭と言いますか、 ところどころに植木を配置することで、 閉塞感が出ないようにすることもできますよ」と梨々子さん。 皆がうんうんと頷いていた。 梨々子さんのアシスタント2名がせっせと仕事をしていた。 一人は話している間に家の内外をあらゆる方向から録画していた。 そしてもう一人はいろんな角度から撮影をしたり、メモを取っていた。 SPさん達にもいろいろ質問をしていたようだ。 そして肝心の外回りの調査が始まった。 本家の正面や駐車場、ガレージ、そして道路の向かい側からの撮影。 側面の道路からもみっちりと撮影して回っていた。 「この日本庭園は素晴らしいですねえ。 これを掘り返してよいものか、本当に躊躇しますよ。 勿体ないので、なるべく工事中は根っこごと保護して造園屋さんに預けます。 それをより分けないといけないですね。 何本かの木は残しますね。少し日本庭園っぽいところも作りましょうか? 池も作って鯉を遊ばせたらいいですねえ。そしたら木々が活きますからね」 そして横森さんが作っている畑を見た。 「わあ、いいじゃないですか? ガーデンには、こういう野菜やハーブも植えたいんですよ。 そこでまた作っていただきたいですね」と梨々子さん。 横森さんがすごく喜んでいた。 そして時代劇に出てくるような立派な構えの井戸の前に来た。 「え?こんな高台に井戸があるんですか?歴史を感じますね。 先代の方は本当に偉かったんですねえ。 この地域は暗渠(あんきょ)も多いので、井戸もあり得ますね。 するとですね、災害時のことも考えないといけないんですよね。 道路から簡単にこの井戸に来れるような動線も考えないといけないですね。 それにしてもここは結構傾斜がありますね。 これを活かさないといけないし、かといって歩きやすさも必要ですしね。 車いすでも通れるようにしたいですね。そこはまた考えましょう」と梨々子さん。 色々と難題が多いということかな。 プロというものは災害時の対策まで一緒に考えるから感心した。 確かにこの高台に井戸は貴重だけど、災害時のことは考えないといけない。 今度建築士に相談してみよう。 「庭のオープンの時期ですが、季節的にいつくらいになりますか?」 「正直、それはまったくわかりませんね。いつが理想ですか?」 「やはり春ですね。 ですが、冬の水仙から始まって、3月の西洋水仙や花桃など低木の花を見せられるといいですね。 それからチューリップですね。冷蔵チューリップを使えば2月からでも見せられます。 春は3月の牡丹も素敵だし、4月から6月までずっと花が素晴らしい季節です。 ですから春の初めからオープン出来ると一番いいんですよ。 その頃にオープンすると華やかじゃないですか?」と梨々子さん。 「ああ、いいですね。それは考えておきますね」

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