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第58話 陽菜サイド・清拭
私は大分元気になった。
声も前より出るようになった。わーい!
隣の病室の三谷華子ちゃんが、毎日遊びに来てくれる。
そしてどんどん喋る練習をしているの。
二人で勉強もしている。
私は勉強が分からない人だけど、華ちゃんも負けてない。(笑)。
お互いに笑ってる。
夕方にあーちゃんが来たら二人とも習ってる。
あーちゃんが「30分だけだよ」って言うから、
華ちゃんがちょっと不満みたい。
だって私と一緒に居たいっていうから、しょうがない。
あーちゃんは大学を出たら就職するから、
準備が出来たら結婚しようって言ってくれた。
そしたらあと、何年?5年くらい?
私はきっと高校を卒業してるね。
私もどこかで仕事を探さないといけない。
院長先生に私が出来る仕事を聞いたら、
「仕事なら生家にいっぱいあるよ」って言ってくれた。
カフェで出すようなドリンクや料理を、
颯太さんの生家で教えてもらってほしいんだって。
家政婦さんがいっぱいいるし、皆料理上手だそうだ。
あーちゃんに聞いたら、本当に美味しいんだって。
私にできるかなあ?心配。
身体のあざが大分良くなってきた。
でも色がまだ残っている。
触るとまだちょっと痛い。
胸の痛みはまだあるけど、トイレはちゃんと行ける。
前よりも大分マシになったの。
でもまだコルセットを胸に巻いている。
夕方になって、あーちゃんが来た。
うれしいけどちょっと照れる。
「今日はどうなの?」
「うん。大丈夫」と言ったつもり。
「陽菜、ずっと風呂に入っていないね。
身体を拭いてあげようか?」
ううんと首を振った。恥ずかしい、ダメだよ。
でも勝手に洗面器にお湯入れてタオルを絞った。
「顔をふくよ」
顔ならしょうがない。やってもらった。
あーちゃんの顔をまじかで見た。緊張する。
「次は手を拭くよ」
片手ずつ拭いてもらった。気持ちがいい。
「今度は背中だよ。後ろ向いて」
バスタオルを前にかけてくれたから、後ろを向いた。
でもごしごしってちょっと強くない?
手でダメダメと振った。
「何?痛かったの?」頷いた。
「そしたらそっと拭くよ」
お湯を熱いのに変えて拭いてくれた。
それにただ拭くだけじゃなくて、
温かいタオルを背中にじっと当ててくれる。
それがすごく気持ちいいな。
「今度は自分で前を拭いて。俺は後ろを向いてるから」とタオルを渡された。
えへへへ、なんだか、変な気分。
こんなところ人に見られたら嫌だな。
拭き終わって、タオルを返した。
「今度は足を拭くからベッドに横になって」
そして布団をめくって足の下にバスタオルを敷いた。
お腹の辺りにもバスタオルをかけてくれた。
「これさ、学校で習うんだよ」
”え?そうなの?”
ちょっと首をかしげて見せた。
「うん、これも授業でやるんだよ。
支援学校だからさ、おもらしする子もいるんだよ」
”だって、私おもらししてないもん……”ぷん。
抗議の顔をしてやった。
「怒ったのか?あははは」だって、馬鹿にされた。
でも足をきれいに拭いてくれて、さっぱりしたのは事実。
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