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第59話 財団・初めての打ち合わせ
未来さんに生家の土地を見てもらったところ、
「すぐ大谷さんとコンタクトを取りたいので、
正式に設計者になったことを伝えていただけませんか?」
と言われた。
「はい、承知しました」
すぐにメールを送ると、
「あ、設計者が決まったんですね?」と大谷さんから返信が来た。
未来さんが連絡を取りたがっていることを伝え、名刺を撮って送信した。
さぞ打ち合わせしたいことが山ほどあるだろう。
負けてはいられない。俺も次々と気になることが出てきた。
ただ、自分一人の考えでは偏る気がして、小林さんに
「しばらく午前10時にミツワに出社してもらえませんか?」
とお願いした。
「喜んで」と返事が来た。
気づいたことはすべて書き留めた。
小林さんはすぐに院長室に来てくれた。
「すみません、一緒に考えていただけるとありがたいです」
「こちらこそ、本当にうれしいです」
にこやかな小林さん。
早速、予算の話に入った。
小林さんも厚いファイルを持ってきていた。
「え?そんなに資料が?」
「恥ずかしながら、思いついたことを書き留めていたら、こうなりまして」
「あ、一緒です!」
二人で笑った。
「今回の予算ですが、想像以上に膨らんだので最初にお伝えします」
俺のプリントを見せると、小林さんは読み終えてニヤッとした。
「では、私の想定もご覧ください」
そのプリントを見て、思わず吹き出した。
「一緒じゃないですか!」
ハハハと二人で笑った。
俺の想定はすでに天井を抜けていた。
総額120億円(庭20億含む)+設計料10億=130億円。
小林さんもまったく同じ数字だった。気が合う。
「いや、驚きましたよ。これでは颯太の配当金を丸々3年分使うことになります。
少しでも赤字を減らす方法を考えますよ」
「お願いします。庭だけで毎年2億近くかかるかもしれません。
もう先生を頼りにするしかないですよ」
「精一杯頑張ります」
その後の初回打ち合わせでは、未来さんと大谷さんの契約が無事に終了し、
山川先生が最初の契約金を送金してくれた。
大谷さん:2億5千万(4回払い)
未来さん:10億(3回払い)
話し合いでは、最初のデッサンを見せてもらった。
大谷さんの色鉛筆のデッサンは額に入れたいほど美しく、
みんなで「ほう〜」と声を上げた。
今回の重要ポイントは次の4つ。
1・本家の外壁の色
窓枠は白。
青みがかった紺か、モスグリーンかの二択。
颯太の
「紺色がいい。白いレースのカーテンと赤い花が映える」
という意見で全員一致。
2・本家を囲む壁のデザイン
はちみつ色のテラコッタ風の壁を
一列にするか
ジグザグにするか
大谷さんはジグザグ案。
デッサンを見ると、ツルが絡み、凹みに花が植えられ、
まったく違和感がない。素敵すぎる。
大谷「テラコッタ素材でジグザグにして、凹みに背の高い花を。
内側は十草などで変化をつけたいんです。
耐震性も上がりますしね」
未来「申し分ございません。大賛成です。降参」
皆でくすくす笑った。
3・井戸の再生
未来さんは
水質検査
水量調査
江戸時代の井戸の再現
江戸櫓と説明看板
総額1000万で立花家の財産として残したい。
大谷さんは、その井戸を日本庭園への導線にしたい。
4・井戸水の還流
大谷さんは井戸水を使って庭の中央に流れを作り、
両側をボーダーガーデンにしたい。
水量調査は未来さんが依頼済み。
この日の話し合いは以上で終わった。
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