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第60話 財団・厳しいルール

 それからは毎日、小林さんと話し合いを重ね合った。 正直、こんなに小林さんが鋭い人だとは思わなかった。 こういう機会が持てて、本当にありがたい。 「クリニックですが、最初の投資額がかかりますが、 手術も出来る眼科を2階に作ろうと思っているんです。 初期投資は恐らく眼科だけで1億円。 スタッフも最小限にします。良いでしょうか?」 「良いですとも。やはり眼科はねらい目なんですか?」と小林さん。 「もちろんですよ。この辺に眼科はいくつかはあるのですが、 手術に対応しているところはないんです。 菜の花赤坂クリニックも週に2回くらいは眼科医が来ているようですが、 手術は菜の花病院に送ってるんですよ。 だから、こっちでしっかり白内障の手術をやってくれたら、相当収入が上がりますよ」 「ほう~。それは絶対やらないといけないですよね」 「それとですね、意外と周りに内科医院が少ないんですよね。 だから内科医を常勤で採用しようかと考えています」 「やはり常勤にした方がいいんですか?」 「そうなんですよ。それで給料なんですが、眼科医は2500万にします。 相場は3000万ですが、そこはミツワのホテルの部屋を提供してくれないかなと思うんです。 通勤の往復はタクシーにすれば、結構満足してくれると思うんですよね。 同じ条件で内科医1700万ですね。どうでしょうか?」 「いやあ~先生がそうされるなら、私は何も言う事はありません。 思うようになさってください」 「あ、それと外に学生寮やマンションを探すというのはどうなったんですか?」 「まだ返事が来ないんですよ」 「実はね。駐車場の件ですが、不足していますよね? それで近辺の土地や中古の家を買って、 2階建てのガレージにして、 本家用の車を置いたらどうかと思うんですよ。 それとビルに入る子達の荷物入れですね。 有料ロッカーにしようと思っています」 「はあ、部屋に置いておくんじゃ駄目なんですか?」 「それだと荷物だらけで床置きになって危険です。 だから造り付けの収納にするんですよ。 古い布団や、ダニが湧いているぬいぐるみも規制しないと、 部屋からダニが湧いて、フロア全部の部屋を消毒するのは大変ですよ」 「確かにそうですね」 「ほら、本家は家政婦さんの手が行き届いていて、いつも美しいじゃないですか? でも掃除の習慣がなく、ごみ屋敷のように暮らしている人は要注意です。 足の踏み場もなくなり、狭い室内で転んだりして怪我します。 俺はそういう人には来て欲しくないんです。 身軽で清潔で、美しい暮らしを学んでほしいんです。 安い給料で生活するんだし、財団がすごくお金を負担しているわけですから、 厳しいルールを作って管理しないと、こういう集団生活は乱れてしまいますよ。 結局それが仕事にも影響すると思うんですよ。 そういう意味では家政婦さん達に整理の仕方とか、 美しく暮らす方法を教えてやって欲しいんです。 これから生きていくには大事なことですからね」 「はあ、そんなものですか? 確かに私は小さい頃から整頓された中で暮らしていますからね。 ごみ屋敷とかピンときませんよ」 「親がそうだと、子供も同じ可能性があります。 子供はどうしても自分の育った環境にしたがるんです。 だから負の連鎖を断ち切って欲しいんです。 そして清潔で幸せな暮らしをしてほしいんですよ」

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