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第65話 立花家というブランド
それから三日後、また連絡があった。
下の200坪の隣の方からだ。
隣が売ると聞いて更にうるさくなりそうだし、
車の出入りが多くなりそうだということで、
タワマンに引っ越す事にしたそうだ。本当に申し訳ない。
しかも、その土地が150坪とのこと。
これで合わせて350坪になった。最高だ!
うれしすぎる……。
そしてまた会長室にて会議だ。
俺は更にいろいろ考えた。
何が何でも赤字を減らして収益をあげたい。
これは山川弁護士には賛同してもらったんだけど、小林さんの許可がいる。
「小林さんに折り入ってお願いがあるんです」
ニヤッとして「ドキッとしますねえ」
「今度減築する本家の事ですが、家政婦さん4人を完全に財団の生活トレーナーとしてほしいので、派遣という形でいただけないでしょうか?」と俺。
「え?……よく分からないのですが、家政婦は要らないということですか?」と小林さん。
「違います。すごく尊敬しているし、ありがたい存在なんです。
だから“家政婦だけ”にしてしまうのが勿体ないんです。
財団に入ってくる子達を全面的に指導する生活トレーナーという、
教職員になって欲しいんです」と俺。
「ほう、そしたら、本家の家事はどうするんですか?」
「家政婦さんは9時―17時までの仕事として、財団の子には本家の1階を指導の場所として使ってもらい、うちの掃除や料理を“実習の場”にして教えて欲しいんです。
正直言うと、俺は普段の料理くらいは出来るし、颯太と二人で作ることもあるんです。
ただ、忙しくて家事が回らない。それは本当です。
だから掃除は午前中に週に3回くらい。
後は夕食の総菜を作っておいていただくか、お弁当を作っていただけると本当にありがたいんです。でもそれ以上は必要ないんです。
出来れば、夜は颯太と二人でゆっくり過ごしたいんです。
ただし、もし颯太に子供が出来たら応援をお願いするかもしれませんが、それは当分ないです。どうでしょうか?」
「はあ、そう言う事ですか。うん、なるほど。ちょっとそれは家政婦の皆に聞いてみますよ。みんなが良いと言ったら私は構いませんよ」と小林さん。
「そうですか。ありがとうございます。本当に助かります。
今回の財団にはこの4人がいなくては、何も始まらないんですよ」と俺。
「ほう〜そうなんですか。私はまだその辺がピンとこないんですよね」と小林さん。
「減築した家の2階は完全に独立した住居にします。
12時‐14時は休憩時間。夜は大体19時から休む時間にしたいんです。
だから皆さんにも休んでいただきたいんですよ。
そして週に3回くらいは皆で夕食会でもしましょうよ。碧人君や里奈ちゃんも入れて」
「はあ、いいですよ。ではそうしましょうか」
「それと俺は立花家というブランドを確立したいんです」
「はあ、なんですか?」と山川弁護士。
小林さんがぽかんとしていた。
「価値を上げるためです。家政婦として今まで頑張ってきた4人の“価値UP”ですよ。
それで、オープンの時は雑誌を作って発売しようと思うんですよ。
そのためにもプロのカメラマンや雑誌の編集者を探してお願いするつもりです」
「あのう、全然わからないのですが、何を本に載せるんですか?」と小林さん。
「今発売されている中で高級路線の生活情報の雑誌があるんですよ。
後で買ってきますよ。立花家だけで1冊出来ます。
例えばずっと使っていた食器に料理を盛って撮影してもらうんです。
漆器も素敵なのがいっぱいあるんじゃないですか?
正月料理も作って、“立花家の正月”を撮影するんですよ。
それから蔵の写真と井戸の写真ですね。
この本家も壊す前に撮影しないといけないから、今この話をしているんです。
それに、どんどん出来上がっていく建物の紹介や、ガーデンの花たちですね。
凄い雑誌が出来ますよ」
なんだかピンとこないようだった。話だけでは無理かな。
「はあ、そうなんですか?私は全然分からないので、
この件は全部先生にお任せしてもいいですか?」と小林さん。
「私も同様です、婦人のことは全然分かりません。お任せします」と山川弁護士。
「はい、任されました。早速カメラマンや編集者を探してきますね」
そしてあとでこの雑誌を5冊ほど買って、見てもらった。
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