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第69話 予算爆上がり

 アイデアが出揃ったので、未来さんに来てもらった。 今日は山川弁護士も一緒だ。 一通りアイデアや、増やしたことをプリントにしておいた。 彼はサッと目を通した途端、頭を抱えていた。 「うわ~仕事がめっちゃ増えましたねえ。結構予算が上がりますけど、良いんですか?」 俺が小林さんの方を見ると、天を仰いでいた。 「どうですか?小林さん、財団の方から出しますよ」 「そうですねえ。増えた分はお願いしましょうか? 家政婦用のアパートも外に作ることになりましたしねえ。 ホテルは財団の企画ですから、それはお願いしますよ」 「はい。分かりました。どうせ投資するなら、一気に最初にやっちゃいましょうよ。 後から追加って難しいですからねえ」と俺。 「そうするしかないでしょうねえ。 これはもっと収益を上げる方法を考えないと駄目ですね」と小林さん。 「家政婦用のアパートなのですが、他にも調理師などの寮を必要とする職員の方が、 結構いらっしゃると思いますが、どうなりますか?」と未来さん。 「あれ?そんなに要りますかねえ?」 「僕の見たとところだと、30人分くらいは、 先回りして準備しておいた方がいいような気がしますよ」と未来さん。 「そんなにですか?」 「このプリントを拝見すると、そうなりますが……」と未来さん。 「先生、しょうがないですね。 これだけ施設が増えるんだから、やはり寮もいるでしょうね」と小林さん。 そうなんだ。俺の見通しが甘かった。 「ですので、職員寮として4階建てになりますね。 部屋は1階が管理人室。ラウンジ、大浴場男女に機械室に倉庫です。 2階は母子家庭などで、7室ですね。 これは少し変化をつけて、35㎡~45㎡にして、あとは倉庫。 3階と4階は個室で、約22㎡で9室ずつと各階に倉庫ですね。 こんな感じでいかがでしょうか?」と未来さん。 「はい、それでよろしくお願いします」 俺はもうお手上げだった。 「あとは会員制の爪手入れとセルフエステと、美容エステですか? 爪とセルフエステは窓から花を見ながらやるんですね? これはいいとして、美容エステは別棟を建てないと無理ですね。 しかも豪華にしないと客層が満足しないと思いますよ。 もちろん建物の外には、エステ予約者専用の駐車場が4台分は要りますね。 やはり、サロンのそばに作らないと、顧客の不満になりかねないと思いますよ」と未来さん。 もう笑うしかない。 「そうですよね、分かりました。お願いします」と俺。 「それとホテルですか? 庭をバルコニーで見ながらだったら、確かに6室になりますね。 これ以上多いと、静けさがなくなります。 それと別棟で管理室を作らないと駄目でしょうね。 この6室も駐車場を確保しないと苦情になります。 どこを駐車場にしましょうか?」と未来さん。 「ああ、そうですか。それはもうちょっとだけ、待ってもらえますか? 今道向かいの土地を4か所売りたいと言われていますが、 もっと売りたい人が出てくると思うんですよ。 駐車場はもう少し待ってほしいです」と俺。 「はい、分かりました。そうしましょう」 その日は背負う事が一気に増えたことで、気が重くなってしまった。 ここで俺はどんな顔をしていたんだろう? 未来さんが帰った後で小林さんに言われた。 「先生、大丈夫ですか?これでビルが開業したら、 精神科の診療までされるのは無理ではありませんか? 佐久間病院の院長までされてるんですから、 誰か採用したらいいじゃないですか? 自分をいじめることはないですよ」 「小林さん!ありがとう!!」思わず手を握って頭を下げた。 「実はそれはすごくプレッシャーだったんです。 俺は精神科の医者になったものの、一番精神科が合わないタイプだったんです。 鬱の相手に寄り添い過ぎて、自分が抱えて込んでしまって滅入ってしまうんです。 午前の診療をしたら、午後は全部休まないと駄目なくらいに落ち込むんですよ」 「え、そうだったんですか? なんでもっと早く言わなかったんですか? 今からでも精神科の先生の募集してくださいよ」 すごくやさしいことを言ってくれた。 涙が出そうだった。

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