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第72話 歓喜
会長室に戻る途中、上川さんに声をかけた。
「上川さん、広報の5人を呼んでもらえますか?」
「はい、かしこまりました」
上川さんも、もう顔がほころんでいた。
きっと事情を察してくれているのだろう。
颯太が小声で言った。
「先生、あの5人……絶対すごく喜ぶよね」
そして、ほどなくして5人が揃ってやってきた。
「なんだろう?」という顔が並ぶ。
「とりあえず座って。颯太、言ってあげて」
颯太は満面の笑みで立ち上がった。
「うん。あのね──
社長にお願いして、皆さん5人とも、財団に来ることになりました!」
一瞬の静寂。
そして──
「わーい!! バンザーイ!バンザーイ!バンザーイ!!」
5人が一斉に立ち上がり、叫び、跳ねた。
あまりの大騒ぎに、山川さんと上川さんまで覗きに来た。
拍手喝采。
笑顔の渦。
喜びが部屋いっぱいに広がった。
「良かったねえ。先生がすごく社長にお願いされてたよ」
山川さんが笑う。
「本当にありがとうございます!! すごくうれしいです!」
山下さんは目を潤ませていた。
「ああ、やったーー!!」
他のメンバーも声を上げる。
俺は手を叩きながら言った。
「こちらもうれしいですよ。今後ともよろしくお願いします。
──ちょっと座ってね。今後のことを話します」
5人が勢いよく席に戻る。
「広報には新たに2名採用するそうです。
そして1年かけて引継ぎをしてほしい。
手に余ることは、並行して皆さんが対応してほしいとのことでした。
ただ、居場所は財団でいいと社長がおっしゃっていました」
「なんてうれしいんでしょう……!」
岡本さんが胸に手を当てた。
俺は続けた。
「それで、颯太の音楽関係の仕事も、財団の事務所で一緒にやってもらえますか?
ミツワから広報の仕事が来たら、それもお願いします。
社長は“臨機応変に”と言っていました。大丈夫ですか?」
「はい!!」
5人の声が揃った。
息がぴったりだ。
本当に仲が良いんだな。
「では、財団の骨子もまとまったので、これから細かい部分を詰めていきます。
毎日のスケジュールだけど……どうしようか?」
小松さんが手を挙げた。
「必要な時に誰でも呼んでください。情報は共有して動きます」
石井君も続けた。
「先生や颯太さんのそばにいた方が、細かい話がしやすいと思います。
ある程度、日にちや時間を決めていただけると助かります」
「じゃあ、午前10時から1時間ほど会議をしましょう。
出来ない日もあるかもしれないけど、それでいい?」
「はい、承知しました!」
声が揃う。
本当にチームだ。
「それでね、どんどん思いつくことを細かく書いていってほしい。
今後は全面的に相談して考えてもらおうと思っています。いいですか?」
「はい、どんどんお申し付けください!」
スタッフたちは上機嫌だった。
「まずは人材募集のタイミング。
医者やナース、技師を募集するから、早めに予告を出したい。
応募する側もこちらも、予約のような形にできるといいと思うんだが……どうだろう?」
「それは助かると思います。先々の計画が立てやすいです」
「じゃあ、明日の午前はその話をしましょう。考えておいてください」
「はい、承知しました!」
5人は勢いよく頭を下げて戻っていった。
山川さんが笑いながら言った。
「いや~、やたらに嬉しそうでしたねえ。
そりゃミツワの広報より、財団の仕事の方がずっと楽しいと思いますよ」
「そうでしょうか?」
「そうですよ。私も財団の方が仕事が多くて飽きません。
もっといっぱい仕事くださいよ」
思わず笑ってしまった。
「じゃあ、もうなんでもやっていただけますか?
全部お任せしますので、お願いしますよ」
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