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第73話 広報のてんやわんや
広報の皆から相談があるという。
「実はですね。昨日、吉沢君がデビュー曲を披露したじゃないですか?
それで皆さんが“絶対売れる”って言うんですよ。
アニメプラスの桐生社長からも、颯太さんもMVを出すことだし、
吉沢さんも爆発的に売れると思うから、フォローしてほしいと言われたんですよ」
「ふ~ん、そうなんだ。具体的にどういうこと?」
「まず吉沢君のファン対応。問い合わせ対応。ファングッズの注文と管理と販売。
これは颯太さんも同じです。
アニメプラスでは夏さんや、アメリカにいるヴォクシブの対応や、
そのほか大勢のタレントさんで手一杯なんですって。
向こうも人手が足りないって言うんですよ。
だから、この二人の分はミツワさんの広報で何とかやってもらえないか?って言われたんです。
どうしましょう?こうなると、5人いても厳しいですよね?」
ちょっと笑った。
「ほら、電話番だったら広報課にベテランがいるでしょう?」
「え?」
プーーーッと皆が吹き出した!
アハハハとみんなで笑って止まらない。
「それに新人が二人来るんだから、さっさと引継ぎでも作っちゃって、パウチしておけばいいじゃない?
もう全部パウチだよ。
それで、課長用に“問い合わせ110番”みたいなマニュアルを作ってパウチする。
新人にも教え込むんだよ。
電話番には、“ただいま担当者の業務が集中しておりますので、代わりまして御用件を承ります。後ほどお返事いたします”ってさ、よくあるじゃない?
あれをやってもらうんだよ」
またまたみんな笑い出した。
「分かりました。では今のうちに仕事を分担して、マニュアルを作ります。
そして課長にも電話番として、問い合わせに応答してもらいます」
と山下さん。
「そうそう、お願いしますね。こっちは出来るだけやっておくから安心して。
急がないからさ」
と俺。
「はい、わかりました」
スタッフが戻っていくと、代わりに山川弁護士がやってきた。
もうニヤニヤしている。なんだよ~。
「ちょっといいですか?今の話、聞こえちゃったんですけどね。
いい方法があるんですよ」
「何ですか?」
「まず、颯太さんも吉沢君もアニメプラスと契約したんですよね?」
「そうです」
「そしたら、そのファングッズや問い合わせの対応をこちらがするなら、
業務提携の契約をして、人件費を向こうに払ってもらわないと、こっちは大損ですよ。
おまけに、うちが財団を始めたことは向こうは知らないですよね?
だから説明に行かないといけないです。
業務委託の契約書の案を作りますから、ちょっとお待ちください。
そして広報のスタッフにも伝えてください。きっと今頃、必死ですよ」
ふふ、と笑っていた。
「ああ、その通りですね。
そしたら社長にも先に報告をしておいた方がいいですね。
うちの財団の仕事として受けたら良いんですね?」
と俺。
「そうです。それと、グッズって大きな倉庫がいるんじゃないですか?
なんか聞いたことがありますよ。
でも財団には幸いなことに土地があるじゃないですか?
ほら、裏の110坪の土地ですよ。
あそこをグッズの倉庫と作業場にすればいいですよ」
と山川さん。
早速、契約書類の案を作ってもらった。
財団の説明書一式はある。それで良しと。
広報に連絡したら「やったー!」と喜んでいた。
そして、颯太と山川さんと一緒に、また社長に時間を10分もらって説明に行った。
「今度は何ですか?」
と社長がもうニヤニヤしていた。
先に颯太に話してもらい、続きは俺から説明した。
「はいはい、分かりました。
しかし財団は本当に仕事が寄ってくるねえ~」
とあきれていた。
「社長、吉沢君のデビュー曲の録画があるんですが、ご覧になりますか?」
と颯太。
「うん、じゃあ、見ようか?」
そして颯太がスマホを出して社長に見せた。
「へえ~すごいじゃない。
この青年が一か月でデビューしたなら、皆で儲けなくちゃね」
と笑っていた。
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