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第75話 里奈サイド・デビュー祝い

 小林さんから夕食の時に、 「颯太さんが吉沢君のデビューお祝いのパーティーをしたいそうですよ」 と発表があった。 うわ~、思わずテーブルの下で小さくガッツポーズをした。 めちゃくちゃうれしい。 私、どんな顔してたんだろう? みんなが私を見た。「え?」 なんだか全員ニヤニヤしていた。 やだなあ~、バレてるのかな? この前、初めて会った時から、 天にも昇る気持ちだった。 カッコよくて、きれいで、やさしくて、穏やかで……最高だった。 ドキドキしちゃった。 そして由紀さんに「お祝いに何を作りましょうか?」と聞かれた。 「それが、私まだいろいろ作れないんですけど、何が良いんでしょうか?」 「お祝いのケーキでも焼く?」 「はい!焼きます!」 思わず大声で言ってしまった。……恥ずかしい。 由紀さんにくすくす笑われてしまった。 そして土曜日の夕食。 先生や颯太さんと一緒に、達也さんがやってきた。 もう、見違えるくらいカッコよかった!! え~何が違うの?? 髪型?洋服?わかんない。 そばにいるだけで、涼やかな風がサーッと吹いていくみたいだった。 もうテレビの中の人みたい。 「こんばんは。今日はありがとうございます」 ちょっとはにかんだ感じでそう言われた。 もう頬が熱くなって、顔が見れなかった。 まぶしくて……。 この前の舞台の録画を小林さんが、みんなの携帯に送ってくれた。 颯太さんが録画したんだって。 凄かったねえ~。別人みたいだった。 カッコいいし、歌がうまいんだもん。 1日に何回も見てる。 きっとあっという間に人気者になるんだろうなあ。 もう遠い人だよね……。 食事はご馳走がいろいろ並んだ。 家政婦さん達が張り切って、それぞれ得意な料理を競ったんだもん。 私は得意料理がないから、教えてもらいながら頑張ってケーキを焼いた。 大きめに焼いたから結構大変だった。 飾りつけはいちご。 スポンジケーキの間にイチゴジャムを挟んだ。 これは私が作ったの。えへへへ。これだけね。 「皆さん、お元気でしたか?」って聞かれた。 「残念ながら、何も変わらず元気よ。出会いもないのよ~」 マツさんがそう言うから、みんなで笑い転げた。 だってマツさんは60歳過ぎ?若いよねえ。 そして楽しく食べて、いよいよコーヒータイム。 台所からローソクを3本点けて、そろそろと運んだ。 「里奈ちゃんがケーキを作ったのよ~」と由紀さん。 「へえ、そうなんですか?ありがとう、里奈ちゃん!」 そう言われてうれしくて、 また顔を見られなかったから、“うん”と頷いただけ。 「この間に挟んだいちごジャムも里奈ちゃんが作ったのよ」 と由紀さんが言ってくれた。わーい! 「へえ~すごいね、里奈ちゃん」 達也さんにまた褒められた。エへへへ。 そして、ろうそくを吹き消してもらって「おめでとう!」の大拍手。 ケーキを達也さんに切ってもらって、皆で食べた。 「里奈ちゃん、このケーキすごく美味しいよ」 達也さんがそう言ってくれた。 うん__と頷いただけ。何も言えない。 あ、ケーキの写真を撮っておけば良かった……。 颯太さんが、 「達也君は見違えるくらいカッコよくなったよねえ~、 みんなが振り返るんじゃないの?」 え? あ、そうか……そうだよね。 「もうマスコミ向けの写真や動画は撮ったらしいよ」と颯太さん。 「へえ~そうなんですねえ。 さすがにデビューさせるとなると、色々大変なんですねえ」 と小林さん。 「ミツワの広報のスタッフも、 達也君が爆発的人気になるだろうと桐生社長から言われてさ。 いろいろ準備をしているよ」と先生。 「これからファンが多くなるだろうから大変だね。 スターは誘惑も多いのかなあ?」と小林さん。 「いえ、俺はそんなことはないですよ。 実は女性とは接触禁止って、最初の契約時から言われてるんです。 少なくともあと2、3年はこのまま頑張ろうと思っています」 と達也さん。 ___え? 「なるほど、厳しいね。まあそうなんだろうね」と先生。 「2、3年ってなんか区切りがあるんですか?」と碧人さん。ギクッ! 「まあ、まだ分からないですけど、実績を積んで少しは形になったら、 お願いごとも出来るかなあと思ったんですよね」 と達也さん。 「へえ~、それはなんか良いことでもあるのかなあ~?」 と碧人さん。 みんながくすくす笑い出した。 もう!余計なことを言うんだから……。 バレちゃうでしょう? 碧人さんをちらっと見てやった。 「今はデビュー直前だもんね、頑張ってね。 でも夏さんの事務所だったら悪いようにはしないと思うから、 任せても大丈夫だと思うよ」と先生。 「はい、俺もそう思っています」と達也さん。 「今度ね、ミツワの広報スタッフが、 颯太や達也君のファングッズや問い合わせに、対応するのが大変だから、 財団が代わって仕事を請け負うことになったんだよ」と先生。 「そうなんですか?それはすみません。 俺の為に皆さんに申し訳ないです」と達也さん。 「いいんだよ。これは業務提携だから、ちゃんと利益はもらうよ。 だからうんと稼いできてね」と先生。 みんなで笑っちゃった! だって達也さんが目を丸くしたんだもん。 面白かったー。

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