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第76話 生家の青写真

今日の颯太は大学が休みだ。 アニメプラスでボーカル90分、ダンス2時間で絞られる。(本人曰く) 「俺、大丈夫かなあ……、出来るかなあ……?」 ふ、どうも止めてもらいたいらしい。 「そうだねえ、止めてもいいけど、また振り出しに戻っちゃうねえ。 でも休んじゃえば?また一から出直せばいいよ」 心がぐらっと揺れたらしい。 ちょっとうつむいてもじもじしていた。 うう……可愛くて堪らない! 「先生、なんでそんなに冷たい事言うの?」 ぷっと笑った。 「颯太の為に言ったんだけどねえ、温かくない?」 「もう、いいよ。行って来る!」 うう~苦しい……。抑えろ! 「はい、行ってらっしゃい!」 にっこりとして見送った。 「颯太、偉いねえ~」見送りの言葉をかけてあげた。 ___さてと、朝のぐずりは終わった。 そこへメールが来ていた。 未来さんから生家や蔵の青写真が出来たから見て欲しいとのこと。 うわ~楽しみだぁ。 それにしてもやたらに早いなあ。 なんでそんなに早くできるんだろう? 不思議だ。 生家に行った。 もう小林さんや家政婦さん達がダイニングについていて、わくわくしている様子だ。 「お待たせしました!」 未来さんがパソコンの画面を見せてくれた。 凄いねえ~3Dの画面で、正面の道路から映している。 左右の景色や長く続く塀の薄茶色でシックだ。 正面から見ると右側に新しい蔵だ。 近代的というか、飾りのない普通のコンクリートの頑丈な奴かと想像していたんだけど、 ところがどっこいだ。母屋にそっくりな素敵な建物だった。 ミニ母屋って感じだな。へえ~。 「なんか母屋にそっくりな家って感じですね?」と小林さん。 「そうなんですよ。母屋に似せているんですが、実は中は頑丈な作りになっていて、防火対策と24時間換気で万全の状態で保管できるようになっています」と未来さん。 「へえ~」皆の声が揃った。 「今回は大谷さんの外観のデザインがあるので、それを活かして、蔵だと思われないようにしました」 「ああ、それは助かりますねえ」と小林さん。 「家を見ていただくには塀が邪魔なので、今度は塀を外した映像になります。 すべての建物が出来上がるまでは駐車場が必要なので、パネルで塀として覆うことになります」 こじんまりとした警備の待機小屋も、外観が母屋そっくりで洒落ていた。 中は、リビング、小さなキッチン、シャワー室、トイレだ。 そして母屋の屋根はチャコールグレーだ。 壁の色は颯太が良いと言った、青みを帯びた紺色だ。 白い窓枠が映えて美しい。 そして外観が360度ぐるっと回った。 2階の屋根に三角屋根の出窓が4か所ほどあった。 白い窓枠に白いレースのカーテン。 風にそよぐ感じがいいねえ~。 そして1階に戻ると、2階よりも大きく張り出している。 何よりも車寄せがすごく大きい。 左右の植え込みデザインといい、素敵過ぎる。 玄関扉も左右に大きく開く。 玄関は部屋のように大きくて明るい。 床がつやつやしたタイル張り?なのかな。 すごくきれいで清潔感があった。 リビングから見える大きく広がったテラス。 前面のジグザグの塀は、うまく生かしてへっこんだ部分に、やや背の高い植え込みがあった。 「植物は大体のイメージなのですが、 この内部から見える植物も大谷さんがデザインしますとのことでした」 「へえ~」……感心するばかりで、もうそれしか言えない。 「リビングの窓はすごく明るくて大きいですね」と俺。 「リビングの窓は、全部開放的に開けて、端に引き込めるようになっているんです。 網戸も収納できるので、視界が完全に開けますよ」 「本当にテラスの色がリビングと同じ色なので、続いて見えますね。 広くていいですねえ」と小林さんが目を細めた。 「素敵だよねえ」由紀さんの声に、みんなもうんうんと頷いていた。 「パーティーにも最適ですよね? 花の匂いを感じながらなんて最高じゃないかしら」とマツさんが言うと、未来さんは嬉しそうに頷いた。 「実はそうなんです。塀がまじかに見えるので、内側には香りの良いバラを植える予定です」 「わあ、嬉しい!」 「もちろん、リビングとダイニングは仕切ることができます。 全部開け放すと広いワンルームになります。ここがダイニングルームになります」 「それから玄関の前には小林さんの執務室があります。 台所の横には皆さんの内輪の休憩室があります」 「わ~やったー」と誰かが喜んでいた。 「リビングルームですが、ソファセットの他に、奥には仕切りがあってミーティングができる大きなテーブルと椅子を用意しました。これは両方とも折りたたんだり、椅子も重ねたりできます」 「ああ、なるほど。ではここで生徒たちにレクチャーが出来るわけですね?」と俺。 「そうなんです。大体10人くらいを想定していますが、 いざという時はダイニングと繋げれば、もっと大勢でのパーティーも可能です」 「へえ~、いいねえ」 「そしてリビングの奥の部屋がちょっとしたゲストルームですね。 ここは琉球畳の部屋で、部屋自体は和風の雰囲気ですね。 造り付けのベッドがあって、倒すとベッド、持ち上げると壁になります。これが3人分あります。 あとはソファベッドを1台置くと、それで4人まで宿泊できます。 それと、クローゼットと棚と、ゲスト用に小さな冷蔵庫も組み込んであります。専用のバストイレ付きです」 「廊下側には、男女別に浴室を設け、それぞれ3人は入れる広さを確保。 トイレも男女別で、女性用は個室を2つ。1つは広めで多目的にも使えます。 洗面所には洗面台が2台並び、その隣にはランドリールームもあって、大きめの乾燥機も完備しました。 台所は広々としていて、中央にはアイランドタイプの調理台があります。 椅子を置いて調理の勉強も出来るようにしました。 料理も一度に数人が作業できるように、シンクは2台、ガス台とIHをそれぞれ備えています。 「明るくて素敵ですねえ。なんだか萌えちゃうわ」 真知子さんの言葉に、みんなも子供みたいに嬉しそうに微笑んだ。

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