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第78話 ビッグニュース
颯太から聞いた話がビッグニュースだった。
菜の花総合病院の北原院長の意識が回復したそうだ。
そしてすぐ話せたとのことで、最高にうれしい。
本当に良かった。
テレビのワイドショーでは、北原院長の過去まで掘り下げて報道していた。
今までにも、大学病院のロビーで人をかばって銃で撃たれたそうだ。
この時は意識不明で40日間眠り、現場に復帰するまでに半年以上かかったという。
二度目は菜の花病院の駐車場で交通事故を目撃し、
その衝突音から過去のトラウマでパニック発作を起こし、転倒して頭を強打。
この時は一週間ほど意識不明だったそうだ。
そして三回目の今回の事件。いつも人をかばってばかりだ。
そんな素振りも見せない、奥ゆかしさとあの美しい笑顔。大好きだ。
本当に友達になりたいのに、中々会うチャンスがないのが残念でならない。
とにかく無事で本当に良かった。ありがたい。
しばし、ぼうっとしていたら、未来さんからご相談があるとのことで、生家に向かった。
「すみません。お呼び立てして」と未来さん。
「実はご相談があります。生家の青写真が出来たことで、工事の準備を始めたいのですが、
3年という長期の工事となると、現場に設計事務所や工事関係者の休憩場所が不可欠なんです。
大体はプレハブの2階建ての建物を建てて、上が設計事務所、1階が工事関係者の休憩所になることが多いんです」
「ああ、そうですね、そろそろ必要ですね」と小林さん。
「それで、裏道にある110坪の家なんですが、あそこを利用したらどうでしょうか?
2階建てですから、2階を設計事務所にして、1階を工事関係者の休憩所にすれば、わざわざお金をかけて、いずれ壊すものを作らなくて済むんですよ」
「あーそれ良いですねえ!ねえ、小林さん。助かりますよね?」と俺。
「本当に、全く考えつきませんでした」と驚く小林さん。
「で、次はお願いがあるんです。その家の庭が30坪ほどあります。
そこを借地契約でお借り出来ないでしょうか?
そこに私の建築事務所を建てさせていただけないかと思いまして、ご検討をいただけないでしょうか?
将来的には、財団のすべての建物が出来上がったら、その家は取り壊して駐車場にするなり、倉庫を建てるなりにすればいいと思うんですよ。いかがでしょうか?」
俺は小林さんを見た。
「ああ、そうですね、それはいい考えだと思いますね。
タイムラグが全然ないし、現実的でいいですね。
それに借地契約なら立花家も土地を手放さなくて済むのでいいと思います。
一応颯太様にお話ししてみますよ」と小林さん。
「あ、では颯太にメールを送っておきますよ」
そしてササッとメールに書いて送信した。
「実はこの大きなプロジェクトをやっていくうえで、精鋭の建築士を4人とアシスタントを2名採用しました。
それで、その家の2階で早速仕事を始めさせていただきたいのです。
あとは提案なのですが、ビルの1階のロビーに、
敷地全体のミニチュア模型を置いたらどうでしょうか?
よく観光地や施設などに置いてあって、ミニチュアと言うと江戸東京博物館が有名なんですよ。
一目で全体像が分かるので、見て楽しめると思うんですよ。
ただ、全部手作りになるので、ちょっと高いんですが、いかがでしょうか?」と未来さん。
「へえ。面白そうですね。それはいくらくらいかかるんですか?」と俺。
「これも芸術的な手工芸になるので、やはり1000万はかかるかと思います。
製作期間も3カ月以上ですね。全部手作りですから」
俺は小林さんを見た。
「いや~、財団の方でお作りになるなら、素晴らしいと思いますよ。
颯太様のご意見はどうでしょうか?」と小林さん。
「すごくいいですよね。すぐメールしますね」
そして5分ほどで返事が来た。
「全部OK」 たったそれだけだった。
「あのう。全部OKで良いそうです」
ちょっとニヤニヤしてしまった。
簡単でいいねえ~。最高。
「あ、じゃあ、問題ないですね。未来さん、あとはお任せします。
借地契約については山川弁護士にお願いしますので、
どんどん仕事を進めていただけますか?。
先生もそれでよろしいですか?」と小林さん。
「はい、全く問題はありません。早く仕事に取りかかっていただきたいですね」
「良かったです。では早速あの家の鍵をお借りしてもいいでしょうか?
仕事道具の引っ越しをしたいですし、建築士たちも連れて行きたいんです。
来たらご紹介しますので、またよろしくお願いします」と未来さん。
小林さんからカギを預かったら、急いで帰ってしまった。
小林さんと目が合うと、ふふと笑っていた。
「電光石火ですなあ」だって。
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