79 / 81

第79話 頼もしいプロたち

 翌日、ミツワに出勤した。 借地の契約書については、山川弁護士がすぐに用意してくれるとのことだった。 良いねえ、仕事のある人は……。 俺もやることがいっぱいあるはずなのに、なんだか置いてけぼりな気がして寂しい。 そんな中、小林さんからメールが来た。 未来さんはすでに掃除道具を抱え、新しいスタッフ達と生家へ挨拶に行ったそうだ。 今日から家中を掃除して必要なものをチェックし、明日には荷物を運び込むという。 未来さんも今後はここに住むとのことだった。 新たに事務所が建ったらそこに引っ越すが、設計図が命なので、 工事期間中も家を空っぽにはできないのだそうだ。 なるほど、すごい覚悟だ。 その日の午後、山川弁護士と生家へ向かった。 そして裏道の家へ足を運ぶと、頭にタオルを巻いた未来さんが出て来た。 「あ、どうもすみません。早速いらしていただいて。みんなを紹介しますね」 皆さんが揃っていた。みんな若い。七人が揃って自己紹介をしてくれた。 「安井です」「三坂です」「星野です」「綾野です」「四宮です」「泉です」「日比野です」 「皆さん、若いですねえ……あれ? 七人ですか?」 「そうなんですよ。前々から目星をつけていたんですが、 ミニチュアを作る天才だと思っている日比野さんです。 今回はスカウトしてきてもらいました。 みんなそれぞれが精鋭スタッフなので、よく来てくれたと思っているんですよ」 「へえ~それは良かった。何か必要なものはないですか? 逆にお聞きしたいんですよ。工事現場の皆さんに何を用意すればいいですか? 必要なものは一階に置いておきます。二階にも何かあれば教えてください」 「ええっ、いいんですか? では早速メモしてもいいですか?」 「というか、勝手に用意してもらって、あとで明細をください。お任せしますよ」と俺。 「うわあ……」 皆さんの声が揃った。 「本当にマジで太っ腹ですねえ……初めてですよ、こんなところは」と日比野さんが驚いている。 なんだかニヤけてしまった。 「じゃあ、借地契約書を持ってきたので、未来さん、見ていただけますか?」と山川弁護士。 「はい、かしこまりました」 そこへ小林さんが何やら抱えてやって来た。 「おお、いらしてましたか。うちの家政婦さん達から、おにぎりの差し入れですよ。 良かったら召し上がってください」 「うお~!」と歓声が上がった。 お茶におにぎり各種、お漬物と果物。焼き菓子まである。 「すごいなあ……もう贅沢の極致ですよ」と未来さん。 その翌日、引っ越しを済ませた彼らは、どんどん業者を呼んで打ち合わせを始めた。 翌週からは本格的に庭の掘り返しが始まった。早い! そして仮の駐車場として、道向かいの家の周りを囲い、解体が始まった。 そんな中、「至急、生家の仮住まいを探してほしい」と未来さんから相談を受けた。 協議の結果、道向かいの150坪の家に住むことになった。 そうと決まったら、さらに引っ越し作業が始まる。 てんやわんやの片付けが始まった。 運転手の横森さんは、とりあえず軽トラを借りてきたそうだ。 家が大きいだけに、荷物の量が半端ではない。俺も手伝いに行った。 「すみませんが、颯太様のお荷物はどうしましょうか?」と由紀さん。 颯太にメールすると、「今行くよ」と返事が来た。 颯太は生家のひっくり返ったような荷物の山を見て、少し引いたようだ。(笑) 「あのさ、俺、要るものだけ分けるから、あとは処分してくれますか?」 はは、絶対そう言うと思ってたよ。 それから颯太の荷物を片付けるのを手伝った。 俺の実家に運んだのがすべてだと思っていたら、まだこんなに残したままだったとは。迷惑だなあ。 しかし、颯太の荷物は最終的に段ボール一個にまとまった。良し! 処分品が山のように溜まったので業者を呼んだが、 一体何台来ればいいんだ? ……それは知らない。

ともだちにシェアしよう!