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第14話 白々しい。
「美月、此奴は日向 太陽といってな。なんでも世界選手のデータに強い『スポーツデータアナリスト』という職業らしい。お前の仕事の役立るんじゃなかろうかと思ってな」
美剣はそう美月に太陽を紹介すると太陽は人の良さそうな笑顔で挨拶をした。
「初めまして、若頭。どうぞ宜しくお願いします」
美月は太陽が本当に怖い奴だと思った。
「白々しいな、日向。昨日既に会ってるじゃないか」
美月は太陽の存在はなんでもない存在のように扱うことに決めた。
そうでもしなければ、この局面の打開策が美月には見付からないと思ったのだ。
「ほぉ、そうなのか?日向」
「はい、実は。夜霧君が出場した大学の弓道大会で、お会いしました。私も弓道を嗜んでいますので」
「それは知らなかったなぁ」
美剣と太陽は本当に白々しい演技を美月に見せつけた。
要するに、これを仕組んだのは美剣なのだろう。
「北白川、君が運営しているサイトのログを少し解析させてもらったよ。実に見事なアルゴリズムだった。……でもこの数ヶ月、一部のハイローラーに特定のパターンで抜かれている形跡があるのに気づいているかな?」
メールの内容はこのことを知らせたかったのだろうが、それは美月も気付いていたことだった。
それにしても、中学時代は理数系ではなかった太陽が何故それに気付いたのか、不思議だった。
「そのことは現在調査中だ。外部の人間が口を出すことじゃない」
美月は冷静な仮面を被り返答したが、太陽はそれに満足していない様子で話を続けた。
「私は君を守りたいだけだよ。このままだと、当局の網に引っかかる『端数』が出る。私の組んだ予測モデルを使えば、そのノイズを完全に消去できると思うよ。君の完璧な城を、私に補強させてくれないか?」
「……」
美月は一瞬考えた、太陽にこんな知恵を与えたのは誰なのかを。
そして瞬時にその答えを弾き出した、きっと美剣が前々から『日向 太陽』が使える相手だと用意していたのだろう。
美月は美剣を見ると、その本人は満足気に笑っていた。
太陽は美月との関係をどこまで話したのか、中学時代の性授業で美月を揶揄い傷を付けた相手だということを知っていれば、自分には近付かせないだろう。
しかし美剣は敢えてトラウマを乗り越えさせようとしているのかもしれないとも考えられた。
昨日から最悪なことが続いていて、『女狐』の美月にすら真の目的には辿り着けず、内心では混乱していた。
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