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第15話 石ころ。

 しかし美剣が企み日向 太陽に知識を与えた事には気付けていたので、ここでわざとらしい皮肉を笑顔で口にした。 「会長、歳を召されると落ちている石ころがダイヤに見えることもあるようですね。わざわざ俺のためにこんな石ころを拾ってきてくださるとは、大変恐縮です」  満月は美月の後ろにひかえながらも内心ではハラハラと心配していた。  いくら美剣の孫とはいえ、この二年間で北白川組会長が優しそうな顔とは裏腹に残忍な相手だと、耳にタコが出来るくらい聞かされていた。  更に美月は続けて言った。 「会長がどうしてもとおっしゃるなら、一度くらいは使ってみましょう。ただ、……もし使い物にならなくて私が壊してしまっても、文句は言わないでくださいね。無能を再教育してまで使う趣味、俺にはありませんから」  美剣に視線を合わせたまま一息でサラッと言いのけてしまう美月は、さすが北白川組の跡取りだという堂々した態度だった。  石ころ呼ばわりされた太陽はきっと怒りに満ちた表情をしているかと思い、満月は恐る恐る視線を向けると、予想に反し満足気で嬉しそうな表情を浮かべていた。 「確かに儂が用意したこころで、此奴はただの石ころかも知れんのう。だが人はその石ころに躓くものだよ、美月」  美月の皮肉は美剣には効かないようだ。 「躓いても儂はお前を助けるつもりはない。甘く見ず冷静に対処しなければな。泣いても知らんぞ」  この一連の美剣の発言で、『日向 太陽』は美剣が教育させたことに確信が持てた美月だった。  それでも美月のトラウマの案件は分からずじまいだった。

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