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第17話 高級外車ロールス・ロイス。
太陽以外にも美月の運転手になりたいと思う組員達は他にも存在していたため、美月の車周りには人集りが出来ていた。
「若頭、運転します」
「満月に運転させるから、遠慮するわ」
そう言いながら美月は助手席に乗り込んだ。
指名された満月は慌てて運転席に乗った。
「俺、左ハンドルの車に慣れていないので、事故を起こすかもしれません」
満月は運転免許を取れたばかりの上、右ハンドルの車しか運転したことがなかったので、上手く運転する自信がなかった。
「今はお前に運転してほしいんだ」
「行き先は会社で大丈夫ですか?」
「ナビ通りにいけば着く」
美月はカーナビをセットする。
カーナビの行き先は『ベントレー東京』になっていた。
美月の気まぐれは今に始まったことではないし、気分転換に車を見に行くのだろう、満月はゆっくりと車を走らせた。
「左ハンドルがそんなに怖いか?」
「はい」
運転に集中している満月は若葉マークの初心者だ、例え右ハンドルだとしても高級車ロールス・ロイスなんて走らせるのは怖いのだ。
集中する満月の表情はカッコイイと美月は思っているし、実際に満月はカッコイイ部類の顔面だ。
信号待ちをしている最中に美月は揶揄うことにした。
「満月、あの犬可愛くねぇか?」
「え、ボルゾイは可愛いというよりもカッコ……」
満月をこちらを向かせることに成功した美月は、リップ音を立てて口付けした。
「……美月さんっ?!」
離れていく美月の表情は儚げだった。
「事故ったっていい。俺は満月の運転する車に乗りたいだけだ」
美月がこんなに儚げに微笑するときは心が傷付いたとき、何かに悔いているとき、そしてベッドで愛し合ったときくらいだと知っている満月は次にかける言葉が見つからなかった。
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