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第24話 早朝08:00。

 早朝08:00、時間丁度に美月と満月が地下駐車場に着くとベントレーの横に太陽の姿があった。 「おはようございます、美月様。本日からどうぞ宜しくお願い致します」  美月に深々と頭を下げる太陽は、どこをどう見ても主人と従者にしか見えなかった。 「手を出せ」  美月はそれだけ言うと、太陽の手に触れぬよう注意しながらベントレーの鍵を渡した。 「車のスペアキーだ」  太陽の手に触れぬように注意したというのにも関わらず、美月が触れていたスペアキーの温度にすら太陽は反応した。 「鍵からあなたの体温を感じます。美月様の愛車、大切に運転させていただきます」  その言葉を放つ太陽に美月はわざとらしく大きな溜息を吐く。  いい加減こんなに意識していたら朝から疲れて仕方がない、美月はそのまま後部座席の前に立つと、含み笑いを浮かべながら太陽は後部座席のドアを空けた。  一連の二人のやり取りに苦笑いを浮かべる満月に、美月は指示した。 「満月、お前は助手席に乗れ」 「はい」  素直に従う満月の反応に美月は癒されながら、サイドボードにタブレットを置き、足を組む。 「夜霧君、今日からどうぞよろしくお願いします」 「日向さん、こちらこそよろしくお願いします」  さすがに満月への接し方はまともだ、それにだけは安心した美月は、太陽に指示を出そうと顔を上げるとバックミラーに映る嫌らしそうな視線とかち合う。  当たり前のように太陽は言う。 「夜霧君の大学までお送りします」  ベントレーを発進させた太陽の運転技術は中々のものだった。  しかもこの時間にいつもの道順で規則正しい太陽のルートは、何もかもを知り尽くされているようで、美月は気味が悪くなった。  そんな美月を察した満月は太陽に話しかけた。 「日向さんは車の運転もお上手なんですね」  すると太陽は満月に微笑みながら言う。 「ありがとうございます。いつか大事な人を乗せたたいと日頃から安全運転を心掛けていましたし、そうすると自然に身につくものですよ」  エリートの鏡のような模範解答に、美月は先程よりも気味の悪さを感じていた。  生理的にどうしても無理だ、と、居心地の悪さを感じながら長く美しい脚を組み替えた。

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