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第51話 賭博の舞台。
スポーツ賭博の舞台となる弓道大会に、美月は偵察に来ていた。
今後の自分の人生を左右するとても重要な大会だったからこそ、直接見たかった。
闇賭博の元締めが初めての選手に賭けたことにより、見物に来るものが少ないこの弓道大会だったが、今回は多いようだった。
そして何故かこの大会から選手名簿に載ることのない匿名選手が出場出来るようになっていた。
きっと日本弓道連盟に顔の利く大物が余興として特別に用意させたのだろう。
そう、今日美月とこの弓道大会を見物に来た、北白川 静のような大物が。
「私スポーツの試合を今まで直接見に来たことはないの。こうして美月さんと並んで見れるのが嬉しいわ」
まさかVIP席が用意されていようとは思っていなかった美月は、大会前に注目を浴びてしまうことに早くも疲れ果ててしまいそうだった。
静は総理大臣を輩出する有名政治家一家の生まれだったし、日本スポーツ連盟に多額の資金を援助をするオーナーだったため、このような待遇になったのだろう。
美月はこの弓道大会を闇賭博の舞台にした張本人 だ、極力目立ちたくはないのだが、今日は致し方ないと割り切ることにした。
「私の援助する選手が匿名で出場するの。美月さんも応援してくれるわよね?」
やはり選手名簿に載らない匿名選手制を導入させたのは静だったようだ。
「はい、お祖母様」
美月は思った、『お祖母様の選手が勝ってくれたらいいのに』、と。
美月と太陽の今後の人生を左右する賭けごとだ。
死に物狂いで太陽に勝てそうな選手を日本、いや世界の情報網を使って探したのだが、将来大きくなりそうな選手は見付かっても、現役で圧勝する選手には巡り合えなかった。
この大会で太陽の対抗馬となる選手に神頼みする以外の術はない。
「そうそう、奥のVIPルームでは美剣さんが大会を観ているそうよ。この大会で日向 太陽は優勝できなかったらどうするつもりなのかしらね」
静も美剣が日向 太陽を試練の人材として育ててきたことは承知のようだった。
それならば、きっと美月と太陽の間にある今回の賭け事についても承知なのだろう。
「お祖母様は何もかもご存知なんですね」
美月がそう言うと、静は目を細めながら微笑んだ。
静と美月が話している間に弓道大会は始まった。
『誰でもいい、あの蛇を優勝から引きずり落としてくれ』、と、祈るような心地で射場を見下ろす美月の目に、最初の一手が映り込もうとしていた。
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