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第52話 背番号07。

 大会が進行していく中、二年連続の優勝者日向太陽が圧倒的な実力で的を射抜くと、会場は盛大に盛り上がった。 「……」  太陽の美しい射形(シャケイ)に観客席から溜息が漏れる。  『美月(ジブン)模倣(コピー)だとしても、そんなことはもうどうでもいい。誰でもいいからあの蛇をどうか仕留めてくれ』、と、美月は心の中で祈りを捧げた。  その太陽の原動力は『賭けに勝てば、美月様は私のもの』、彼にしてみれば今回は絶対に負けられないチャンスだった。  対抗馬の選手が的を外した瞬間、美月の中に絶望の色を感じる。  『今の日向 太陽の好調を誰も止められないのかもしれない』、諦めかけた美月に静は声を掛けた。 「次は匿名で入れていただいた、私の援助する選手の出番ですの。美月さんも応援してくださるかしら?」 ​「匿名エントリー、背番号07」  審判にアナウンスされ、射場に現れた選手の姿は美月がよく知る人物だった。 「!!」 ​ ​弓道着に身を包み、二年前の高校生姿とは見違えるほど逞しく、美しく、そして野生の凄みをまとった大人の男に成長した夜霧満月がそこに立っていた。 ​ 美月は衝撃のあまり席から立ち上がりそうになったが、既のところで思い留まる。 「満月……? !なんで、お前がそこに……っ」  何も聞いていなかった美月の鼓動が高鳴る。  『期待してもいいのだろうか。……いや、俺が彼を期待し応援しなくてどうする!!』、美月は心の中で強く祈った。  期待と同時に再度自分を助けようとしてくれる満月の気持ちが正直嬉しかった。  背番号07はVIP席の美月だけを真っ直ぐ見つめてから、獲物を狩る眼光を宿し、静かに弓を構える。  普段の満月とは違う眼差しで、的を狙う彼は到底同一人物には見えない。  鍛え上げられた大人の男の背中は、美月を命を懸けてでも守るという猛戦士(パーサーカー)としての冷徹で美しい射形(シャケイ)は、『一人の大人の男の圧倒的な強さ』を感じれた。  矢か離れ、澄んだ弦音が響き、そして的のド真ん中を射抜く。  その見事な姿に会場は絶句していた。  それでも残身すら美しく残す、彼は進化したのだ。  圧倒的な強さは、まさしく防弾ガラスを射抜いた夜霧 満月だった。  いや、防弾ガラスを射抜いた時の彼よりも今のほうが断然強いと美月は思った。  これを観ていた太陽はずっと勝利を確信して不敵に笑っていたが、初めて目を見開き舌打ちした。

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