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第65話(番外編2)二人だけの射法訓。2
美月が公式戦に出場したのは、高校一年のあの大会が最初で最後だった。
大健闘の末の個人戦四位、その輝かしいはずの成績の裏で、当時の彼に圧倒的に足りなかったのは練習量だった。
美月の類稀な美貌が引き寄せてしまった、嫉妬と欲情の地獄がそこにあった。
部活終了後の薄暗い道場で、男子部員たちから執拗に受け続けた性暴行の記憶が、今も美月の身体の芯に『快楽への弱さ』として焼き付いている。
身も心も疲れ果てた美月に、まともな練習などできる気力は残されてはいなかったのだ。
多くのスポーツ大会は暴力団関係者の出場を禁止している。
そのため美月は極道一家の長男であることを隠し、ただ『大会に出場したい』という純粋な目標だけで縋りついた弓道だったが、神聖な場所を淫らな行為で汚してしまったという自責の念を、今も美月の胸を深く抉り続けていた。
その美しく完璧な横顔の寂しげな影の正体はそれなのだ。
美月は悔しかった。
『……こんな見た目でさえ生まれついてこなければ』
あんな出来事がなければ、自分はもっと純粋に弓道と向き合うことができていれば、もっと別の景色を見られたのかもしれないのに。
そして何より神聖な弓道を淫らな行為で汚してしまった自分の存在が何より嫌だった。
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