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第7話
アクセルだって破魂は嫌だ。せっかく苦労してヴァルハラに来たのに、やっと兄と平和な生活を送れるようになったのに、肝心のケアを怠って永遠にお別れだなんて絶対にあり得ない。
見たところヴァーリは優しそうな人だし、妙な実験も行われていないようだから、このまま入院するのもやぶさかではないと思っている。必要なものを兄が届けてくれるというのなら、生活面で心配することはないのかもしれない。
ただ……それとは別に、心の準備が済んでいないことも事実だ。
兄は入院する側だったからわからないかもしれないが、アクセルにとって「獣化」は思った以上にトラウマな出来事なのである。
頭では「即入院が正しい」とわかっていても、自然と身体が身構えてしまう……トラウマとはそういうものだ。
「ではヴァーリ様、そういうことなので弟をよろしくお願いします。……あ、念のため言っておきますけど、治療以外のことをしたらヴァーリ様でも許しませんからね。くれぐれも、変なことはしないでくださいよ?」
「もちろんですよ。ただ、ご家族の方が心配になるのもわかりますので、入院の際はこちらの誓約書にサインしていただくことになっていまして。よろしいですか?」
と、ヴァーリが別のチェックボードを差し出してくる。
そこには一枚の紙が挟まれており、ざっくりと「治療以外のことはいたしません」との旨が描かれていた。これに同意すればいいのか。
本人名のところに自分の名を書き、保護者名のところに兄が名前を書く。
これで後には引けなくなった。
――今から入院か……。
ちょっと診察を受けるつもりだったのに、いきなりこんな大事になるとは。
寝坊や爆食は今日から始まったことだから、そこまで重症という自覚がない。閾値や抵抗力が高いと言われても、アクセルにとっては「何の話だよ」という感じである。
「それじゃ、後で必要なものをまとめて持ってくるね。お前は余計な心配はせず、治療に専念するんだよ?」
施設外の鉄門の前で、兄が念を押してきた。
仕方がないので、アクセルはあえて力強く頷いてみせた。
あまりウジウジしていても仕方がない。入院することは決定事項なのだ。
ならば頑張って獣化を治して、一刻も早くヴァルハラに帰ろう。兄をずっと放っておいたら浮気されそうだし。
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