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第17話

 試しに一口飲んでみたら、実家とほぼ変わらない味が舌に広がった。水よりも早く身体に吸収されていく感覚があり、足りない水分が一気に補われる気がする。 「すごい、味もほぼバッチリだ。ありがとうナイン、美味しいよ」 「ほんと? よかった。じゃあこのレシピで、たくさんストック作っておくね」  ナインはチェックボードの片隅に、レシピをササッとメモした。  ――こういうところは、兄上と全然違うなぁ……。  兄はハチミツとレモンの分量が毎回適当なので、作る度に味にバラつきがある。  そういう自分も適当なのだが、一応グラスの目分量で「だいたいこのくらい」みたいな感覚は持っていた。  ナインのように一回目のレシピを記録しておけば、間違いはないんだろうなぁ……なんて思う。 「……なんだい? 何か気になることでもあった?」 「ああいや、何でもないよ」  笑ってごまかし、アクセルはもう一杯ハチミツ入りレモン水を飲んだ。運動中の水分補給は、やっぱりこれが一番だ。 「さて……もう少し鍛錬するか。夕食まで、まだ時間あるもんな」 「え、まだやるの? もう随分走り込みしてるけど……」 「次は筋トレだ。体力作りも大事だが、基本となる筋肉がないと死合いの時に力負けしちゃうからな」 「そっか……」  アクセルはその場で腕立て伏せ、腹筋、背筋、スクワット等を行った。  本当は素振りもしたかったのだが、入院中は武器を振り回すことを禁止されている。当たり前といえば当たり前なのだが、いつものトレーニングができないと何か少し物足りない気がしてくる。 「…………」  ナインはしばらくこちらの様子を見守っていたが、ふと思い出したようにこんなことを言い出した。 「そういえば書庫の本で読んだことあるけど、筋肉をつけたい時は『筋トレの後に走り込み』をした方がいいんだってよ?」 「……え、そうなのか? 何でだ?」 「ええと、確かその本は『有酸素運動と筋トレ、どちらを先にやるとより効果的か』みたいな内容だったんだけど……」  何でも、人間の身体は運動のエネルギーとして時にまず糖質を使い、その後で脂肪や筋肉を分解し始めるのだそうだ。  最初に筋トレを行った場合は、糖質を消費すると共に、筋肉への刺激によって成長ホルモンも分泌される。この成長ホルモンが骨や筋肉を強くしてくれるので、結果として筋力アップに繋がるというわけだ。  逆に有酸素運動が先だと、成長ホルモンが分泌されることなくエネルギーを使ってしまうため、糖質がなくなった後はそのまま鍛えた筋肉まで分解されてしまうのだという。

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