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第18話
「だから、筋トレ前の走り込みはほどほどにした方がいいみたい。ウォーミングアップ程度ならいいけど、息切れするまでやるのはNGだってさ」
「で……でも、エネルギー源だったら脂肪もそうだろ? いきなり筋肉を分解することにはならないんじゃないか?」
「うん。でもアクセルって、ほとんど脂肪ないじゃない? 体脂肪率何パーセントなの?」
「……あ」
「だからアクセルの場合は、糖質使い切ったらすぐに筋肉が分解されると思った方がいいよ。次からは筋トレを先にやってみたらどうかな?」
そこまで聞いて、アクセルはがくっと地面に崩れ落ちた。
自分のやってきたことが逆効果だったと知り、一気に力が抜けてしまったのだ。
「……なんか、兄上に勝てない原因がひとつ見つかった気がする……」
「? アクセル、ずっとフレインに勝ててなかったの?」
「そうだな……勝ったことは一度もない。よくて引き分け、ほとんどは負け越しだ」
「そうなんだ……。フレインって、そんなに強いんだね」
「ああ、鬼のように強いぞ。でも普段からみっちり鍛錬するタイプじゃなくて、単純なトレーニング量なら俺の方が多いはずなんだ。なのに全然勝てないから、才能の差なのかなって思ってた……」
「そっか……。まあ、原因がわかっただけよかったじゃない? これからはもっと強くなれるよ」
「そうであって欲しいな。せっかく筋トレ頑張ってるのに、鍛えたものが無駄になってたら意味がない」
もちろん全部が無駄だったとは言わないが、効率が悪かったことは確かだ。
明日からはちゃんと、筋トレをしてからランニングを行おう。
「それにしてもナイン、いろんなことよく知ってるな。プロのトレーナーみたいだ」
「いや、僕は図書室の本を読み漁ってるだけだよ。仕事が終わると他にやることないから、いつも本読んで過ごしてるんだ」
「そうなのか……。トレーニングをしようとは思わないのか?」
「しても意味ないじゃない? だって僕……」
一瞬何かを言い淀み、すぐににこりと続ける。
「ええと、ここから出られないし。それじゃ、身体鍛えても意味ないかなって」
「そうか? だとしても、健康のために運動するのはいいことだと思うぞ」
「健康のため、ね……」
「この広場を、ぐるっと早歩きで何周かするだけでも違うんじゃないか? 俺、自由時間はここでトレーニングしてるから、気が向いたら身体を動かしてみるといいよ」
「うん……気が向いたらね……」
ナインの返事は、どこか消極的だった。兄と違い、運動嫌いなんだろうか。
まあコピーといっても別人だし、生活環境が違えば性格も違ってくるのだろう……きっと。
何だか気が抜けたので、その後は夕食まで図書室で過ごすことにした。
ナインに「トレーニングに役に立ちそうな本」をいろいろオススメしてもらい、メモを取りながらじっくり読み込んだ。
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