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第19話

 それから一週間ほどが経った。 「うん、食欲に関してはもう大丈夫そうだ」  ナインがチェックボードの記録を見返しながら、言った。 「というかアクセルって、元々そんなに食べる方じゃないんだね。戦士(エインヘリヤル)だから、もっと食欲旺盛かと思ってたよ」 「ああ、一般的な戦士(エインヘリヤル)より少食かもな。もちろん食べる時は食べるんだが、食べ過ぎて身体が重くなる方が嫌で」 「そうなんだ? でも、なんかわかるかも」  兄には「お前はすぐお腹いっぱいになっちゃって」などと小言を言われるが、アクセルはそれで困ったことはほとんどない。  特に自分はどちらかというとスピード重視の戦い方をするので、身体が軽い方が都合がいいのだ。  ――それに、最近は鍛錬の順番を変えて筋トレの後に走り込みをしているからな。心なし、腕の筋肉もパキッとしてきた気がする。  ちなみに睡眠の方も、いつもと同じ調子に戻っていた。  床に入ればすぐに眠りにつけるし、朝まで目覚めずに熟睡できている。  午前七時の起床の鐘が鳴る前――午前六時頃には自然と目が覚めるし、寝坊することもなかった。  獣化の治療薬の量も全体的に減っているから、確実に完治に向かっているということだろう。その点に関してはホッとしている。  ただ、問題がひとつ残っていて……。 「それで、残るは性欲だけど……体調はどうなの?」 「うっ……」  ぎくっ、と肩を竦める。  実は最大にして唯一の問題が、この「性欲」だった。  最初は「何とかなるだろう」と軽く考えていたのだが、ここ最近はそれ特有の疼きを感じることが増えている。  普段は平静を装っていても、ふとした拍子にムラムラしてしまうので、何かで気を紛らわせないと落ち着かない状況が続いていた。  午前の雑用中に急に身体が疼いてしまい、作業を中断して広場で猛ダッシュしたこともある。  それでも駄目な時は、自分の部屋で抜いてみたりもしたのだが……結局上手くいかなかったのだ。  ――くそ……。いつも兄上にやられてる弊害がこんなところで……。  アクセルは小さく唇を噛んだ。  こういうのも何だが、兄に抱かれるのは本当に死ぬほど気持ちがいいのだ。  緩急つけて刺激され、弱いところを的確に攻められ、時には苦痛をも与えられ、我慢できなくなったところで一気に解放される。  そんな風にされると冗談抜きで頭が吹っ飛びそうになり、アクセル自身も我を忘れて溺れてしまうのだ。あまりに快感が強すぎて、何度目かの精を注ぎ込まれたのと同時に失神してしまったこともある。  だからこそ、他の刺激では全く効かなくなってしまうのだ。  自分で前を触ってもほとんど感じられないし、後ろに突っ込んでみても一番欲しいところに刺激が届かず、もどかしい気持ちだけが募っていく。  結果として欲求は全く解消されず、悶々とした気持ちが積み上がってしまうというわけだ。正直、この状況はかなりヤバい。  だけど、そんな状態であることをナインにいうわけにもいかず……。

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